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大病から復活した男が
セルティックスを強くする。
~NBAに帰ってきたジェフ・グリーン~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2013/01/26 08:00

26歳と働き盛りのグリーンは、持ち味のディフェンス力と幅広い攻撃力でチームを支える。

26歳と働き盛りのグリーンは、持ち味のディフェンス力と幅広い攻撃力でチームを支える。

「弱いときにこそ、強い」

 聖書にある言葉だ。人間は誰しも弱い存在だが、その弱さや逆境から目を背けずに立ち向かうことで、真の強さを身につけることができるという教えだ。

 ボストン・セルティックスのジェフ・グリーンが、自分の胸に残る大動脈瘤の手術の傷を誇らしげに見せるのも、弱かったときの経験が今の自分を支えていると知っているからだ。

「これ(傷口)は今では僕の一部だ。多くの人が難しいと言ったことに対して戦い抜いた印なんだ」とグリーンは言う。

 そんなグリーンも、'11年12月、シーズン前の健康診断で胸部大動脈瘤が見つかり、手術が必要だと告げられたときには、すべてが終わったと悲観して涙を流したという。選手として復帰できると知ると、リハビリに励んだが、最初はまともに歩くこともできず、「まるで25歳で赤ん坊に戻り、一からやり直したかのようだった」と振り返る。諦めず、努力し続けたことで、今季のトレーニングキャンプには無事、セルティックスの一員として戻ることができた。

手術から1年という特別な日に見せた活躍。

 手術からちょうど1年後の今年1月9日、グリーンはシーズン35試合目を戦った。控えから25分余出場し、14点・3リバウンドをあげ、勝利に貢献した。手術前のトレードマークでもあった力強いダンクも2本見せた。過去にはもっと活躍し、もっと多く得点した試合もあったが、手術から1年という特別な日にそれだけのプレーができたということが大きな意味を持っていた。

 ふだんはあまり感情を表に見せないグリーンが、試合後、涙を抑えて語った。

「こうして今ここにいられること、生きていられること、そしてバスケットボールができていることが嬉しい」

 実は、開幕から約2カ月の間、セルティックスもグリーン自身も、波に乗れないでいた。チームは勝率5割前後を行ったり来たりし、グリーンは期待された活躍ができないもどかしいシーズンを送っていた。それが偶然とはいえ、グリーンの手術1周年前後にすべてが噛み合い始めた。チームも勝ち、グリーンも存在感を示すようになってきた。

「弱いときにこそ、強い」

 今のセルティックスとグリーン、どちらにも言えることかもしれない。

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