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二軍でも勝てない斎藤佑樹に対して、
鎌ケ谷のファンが語る“複雑な感情”。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/08/21 10:31

二軍でも勝てない斎藤佑樹に対して、鎌ケ谷のファンが語る“複雑な感情”。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

二軍の五十嵐信一監督は「個人的には追試という感じ」と斎藤がまだ昇格には早いことをコメント。次回の登板は25~26日のヤクルト2連戦(鎌ケ谷)が予定されている。

 夏、斎藤佑樹。斎藤佑樹といえば夏の季語になるんじゃないかと思うほど、斎藤佑樹には夏が似合う。

 6年前、春のセンバツではどこにでもいるような投手が、5カ月後、炎天下の甲子園に舞台を移すと大歓声をバックに連戦連投。並み居る強打者をねじ伏せ、豪腕のライバルたちにも投げ勝ち、大会史上最多の948球を投げ抜いて夏の英雄へと駆け上がった。

 甲子園の青い空に映える爽やかな青いハンカチーフ。その主は今や灼熱の鎌ケ谷の中で苦闘している。あの夏の姿は夢か幻か。恋人よ、君を忘れて変わってゆく僕を許して。

 田中将大との死闘を演じた伝説の決勝戦から6年目の前日にあたる8月19日。斎藤佑樹は二軍戦のマウンドに立っていた。南三陸の町民を無料招待して行われたイースタンリーグ・震災復興支援試合東北楽天×日本ハム戦。7月29日のオリックス戦で4回KOされファーム行きを命じられて以来三度目となる二軍戦登板は、自身の一軍復帰を懸けた大事な試合。そして震災復興という特別な試合に起用されたことも、斎藤佑樹の“持っている”部分を期待されたからだろう。

 だが、結果は散々だった。初回から楽天打線に捕まり5回6失点。生命線のコントロールも乱れ、押し出しを献上するなどいいところなく降板した。これで二軍落ち後、3試合に登板して計14失点。セットポジション・クイックなど課題を試していたこともあるだろうが、「勝てる投球がしたい」と宣言した上でのこの結果は、如何ともし難い。

 更に気になることは、二軍落ち以降の斎藤佑樹が試合を重ねるごとに精彩を欠いているように思えることだ。

斎藤の“持っている”魔法は、ついに消えてしまったのか?

 4日のフューチャーズ戦では5本の長短打を浴びて1イニングで5失点。目標の数字を問われて「究極がいいです」と答え、完全投球を目指した11日戸田でのヤクルト戦では6回3失点と結果が出ず仕舞い。二軍落ちした直後に食事が喉を通らなくなり5kgも痩せてしまったという新聞報道や、先日発売された『月刊文藝春秋』のインタビューでの「(最強だった18歳の頃に)戻りたいとは思わないです。ただ、やり直したいとは……」なんて弱気な発言に直面すると、これまでの斎藤佑樹の肝だったランナーを出しても決定打を与えない、逆境における強靭な精神力、そして“持っている”という魔法みたいな特殊能力のすべてが、この夏で瞬く間に消え失せてしまったような気がする。

 それを如実に感じたのは、イースタン初登板となった8月4日鎌ケ谷でのフューチャーズ戦だった。

【次ページ】 「相手は佑ちゃんだぞ、打ったら怒られるぞー」

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