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マイナー競技だからこそ。
五輪に懸ける彼らの決意。
~ロンドンで運命を切り開くか?~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO

posted2012/07/28 08:00

昨季より滞空時間を得点化した新ルールが導入され、跳躍力のある伊藤に追い風となった。

昨季より滞空時間を得点化した新ルールが導入され、跳躍力のある伊藤に追い風となった。

 折に触れて、思い出す言葉がある。

「『あんなのスポーツじゃない』とか、中傷する話も耳にしていました。自分はプライドをもってやっている。そう言われるのが悔しかった。それには五輪でアピールするしかない、メダルを取って魅力を知ってもらおうと思って臨みました」

 トリノ五輪で必死の戦いを見せ、ブームを起こしたカーリング日本代表、小野寺(現・小笠原)歩の言葉である。

 ロンドン五輪を前に、室伏広治、北島康介ら第一人者たちをはじめ、陸上や競泳などの選手が脚光を浴びている。だが、その恩恵にあずかれない選手たちもいる。いわゆる「マイナー」と言われる競技の選手たちだ。彼らは、小野寺のように使命感とともに競技と向き合ってきた。

 その一人に、トランポリンの伊藤正樹がいる。伊藤は常々、こう口にしてきた。

「トランポリンをメジャーにしたい」

 小学1年でトランポリンを本格的に始めた伊藤は、充実した練習環境を求め、高校生になると単身、トランポリン王国の金沢に「留学」するなど一心に打ち込んできた。だから愛着と誇りがある。ふだん陽の目を見ないトランポリンを認知してほしい、それが自分自身はもちろん、これからの選手のためになる。そう考える伊藤は「最低でもメダル獲得」と目標を掲げる。世界で有数の跳躍力を武器に、昨年は出場したワールドカップ4大会すべてで表彰台に上り、世界ランク1位。実力も申し分ない。

「マイナーだから五輪に出られるんでしょ」の声にもくじけず。

 欧州では関心が高いが、日本ではほとんど知られていない近代五種という競技がある。その日本代表に、黒須成美という20歳の選手がいる。彼女は言った。

「結果を残したら認めてもらえるかなって自分に言い聞かせてやってきました」

 五種目まとめて練習できる場所がないため、それぞれの種目を練習するには、異なる場所へ出向かざるを得なかった。

「マイナーだから五輪に出られるんでしょ」と言われ傷ついたこともあった。その中で励んできたから、もっと知ってほしいと飛躍を期す。

 伊藤や黒須をはじめ、五輪競技の中でもマイナー視される競技の選手たちは、運命を切り開こうと強い思いでロンドンに臨む。そんな選手たちの戦いもまた、オリンピックの見どころである。

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