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今季2勝目に一番乗り!
アロンソが見せた奇跡。
~浜島裕英が語るヨーロッパGP~ 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byAFLO

posted2012/07/06 06:01

2006年スペインGP以来6年ぶりに母国で勝利したアロンソは、国歌が流れると男泣きした。

2006年スペインGP以来6年ぶりに母国で勝利したアロンソは、国歌が流れると男泣きした。

 F・アロンソが母国バレンシアで開催された第8戦ヨーロッパGPで予選11位から今季2勝目をあげた。予選8位から勝利した第2戦マレーシアGP以上のレースで、2度目の奇跡を起こしたと言っていいだろう。

 地中海沿いのマリーナに設けられた高速ストリート・ロングコースはモナコGPなみにオーバーテイクが難しい。過去4年はPPウィン3回で、「後方スタートからの勝利はあり得ない」と言われる。では、なぜミラクルは起きたのか。

 予選10位までは使用済みタイヤでのスタート義務があるが、11位以下は自由に選択が可能だ。そこでアロンソは未使用のソフトを装着。今年のピレリは周回数を重ねるとグリップダウンが著しい。ニュータイヤで順位を上げ、序盤をより長く走れば、中盤以降のレース戦略に幅ができる。もう一つ、奇数列の11位はレコードライン上にあり、路面グリップが偶数列より望める。この相乗効果でアロンソは精確にダッシュし、1周目で8位、1回目ピットインまでに3位に進出した。

浜島氏が語る“レース運”を引き寄せるチーム総合力の重要性。

 ここでピットクルーがニュー・ソフトタイヤを3秒2で素早く交換。「そこまではすべて予定どおり」とフェラーリ・タイヤ担当の浜島裕英エンジニアは言う。そして27周目、セーフティーカーが出動。ここが勝負の分岐点だった。アロンソは28周目に固めのミディアムに交換。「残り半分29周をカバーするのは(データ的には)ギリギリでしたが」と浜島は打ち明ける。あとはアロンソのペースコントロールに任せるほかはない。

 中盤再スタート後、アロンソはグロジャンをかわし、ベッテルの突然のトラブル脱落でトップへ。浜島は「しかし、リア・タイヤのグリップが残り8周でなくなった。ここからは腕と運の勝負、ファンタスティックでした!」とアロンソを絶賛した。タイヤが勝負を左右すると言われる今シーズンだが、ブリヂストン出身の浜島はドライバーの力量を強調するとともに、“レース運”を引き寄せるチーム総合力が重要と言い切る。

 8戦を終え首位アロンソが2位ウェバーを20点リード。この大逆転、奇跡の2勝は、いま経済危機にあるこの国にせめてもの勇気を与えた。土曜のEURO勝利に続く、日曜のアロンソ逆転Vは、スペインのスポーツ・パワーを見た気がする。

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