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<元日本代表の両翼論> 都並敏史&名良橋晃 「サイドバック、誰が正解か?」 

text by

戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2012/06/28 06:02

ザックジャパンの攻守の鍵となるサイドバック。
長友、内田がレギュラーを務めてきたが、
酒井宏、酒井高と新戦力も台頭してきた。
ブラジルW杯まであと2年。果たして下剋上は起こるのか?
元日本代表サイドバックコンビが縦横無尽に語り尽くす。

――最終予選は本田の得点で幕を開けましたが、長友のアシストが見事でした。

都並   もともと彼は走力に優れ、裏へ抜けるタイミングも非常にレベルが高い。ただ、相手DFとヨーイドンで競走してスピードで勝つことが多かった。読みがいい相手だと潰されちゃうわけです。でも、あのオマーン戦の1点目のクロスは、香川、前田がパスを交換している間にワンテンポ置いて、グッとスピードアップした。意図的にスペースを攻略する、次の段階の攻め上がりになってきた。ハイレベルなサイドバックの攻め上がり方に。

名良橋   相手に寄せるスキを与えない、ダイレクトでクロスを上げられるタイミングでした。クロスの蹴り方も変わってきました。

都並   変わったね。左足でボールを持つときに、以前は身体が内側を向き過ぎていたのが、今は外側を向くようになった。それによってクロスが安定して、ニアサイドへもスムーズに上げられるようになりつつある。

名良橋   DFなら「この蹴り方ならニアにくる」という予測をするんですけれど、長友はニアにもマイナスにも上げられますからね。

――右サイドの内田はどうでしょう? 名良橋さんは鹿島のチームメイトでしたが。

名良橋   今の代表は、左サイドに攻撃の比重がかかってますよね? 長友が上がれば、全体がスライドして守備のバランスを整える。そういう感覚はすごくしっかりしている。戦術理解度は高い。シャルケでも左サイドの選手が高い位置をとるので、バランスを取りながら飛び出している。そのなかで、攻め上がりのタイミングも磨いていると思う。それから、何と言ってもビルドアップがうまい!

都並   ずば抜けているね。奪った瞬間にダイレクトでいいところへボールをつけられるのは、現段階で内田ぐらい。前なのか、横なのかっていう選択も間違いがない。それって実は、すごく大事なことで。彼のところで攻撃が詰まらないんだ。パスの質も優しい。

名良橋   パス1本でゲームを作れる能力は、かなり高いと思う。岡崎のフリーランニングにうまく合わせたり。

都並   つなぎのセンスは一番。守備もできる。ひとつだけ物足りないのは、試合によってクロスの質にばらつきがある。とくに代表になると、DFにぶつけちゃったり、前が詰まって横パスや後ろに下げることが多い。なぜかと言うと、ドイツではサイドに張った状況で、低くて速いボールを受けられる。そのぶん、内田のところで時間がある。これが代表になると、パスレンジが短かったりするために、ボールを受けた瞬間に寄せられていたりする。トラップしてクロスを入れようとする瞬間にはもう、DFの距離が近い、コースを消されてるっていう感覚があるんじゃないかな。自分のところで時間を作れたら、と思う。そこのちょっとした微調整が、まだ少し足りないね。

名良橋   ボールを止めて、中を見て、という感じだと、合わせる選手も難しくなってくる。

<次ページへ続く>

【次ページ】 内田のビルドアップか、クロスの質が光る酒井宏か。

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