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ザックも本田も「日本が上だった」。
全て想定内でも勝てなかった豪州戦。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2012/06/13 13:50

ザックも本田も「日本が上だった」。全て想定内でも勝てなかった豪州戦。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

「ハッキリ言えるのは、オーストラリアよりも僕らの方が良いサッカーをしていたということ」と試合後に言い放った本田圭佑。今回ばかりは傲慢ともとられないのでは!?

 ブリスベンスタジアムの夜空を、ザックジャパンの面々は悔しそうに見上げた。

 後半ロスタイム、FKのチャンスを得た本田圭佑がまさに助走に入ろうとした瞬間にホイッスルが鳴った。あり得ない光景に本田は両手を広げるジェスチャーを見せ、少々後味の悪い終わり方になった。

 結果は1-1、ドロー。アウェー、そして相手がオーストラリアということを考えれば及第点であるはず。しかしながら本田も、アルベルト・ザッケローニも何とも言えない表情をしていた。

 試合後、記者会見場に姿を現した指揮官は、こう感想を述べた。

「開始直後は少し危ない場面が見られたが、それ以降は日本のほうが(相手にとって)危険なプレーをやっていたし、相手を押し込めたかなと思う。オーストラリアはW杯に行く有力候補であり、しかもアウェーという状況を考えれば引き分けでいいのかもしれないが、試合の流れをみるとそうは言い切れない。相手はいい戦いをしていたけれど、我々はその上を行っていたと思うので、残念という気持ちのほうが強い」

ただただゴール前にロングボールを放り込むオーストラリア代表。

 試合はオーストラリアのペースでスタートした。

 3日前にラグビーの試合が行なわれた影響もあったのか、ピッチコンディションが悪く、日本寄りのレフェリングとみるやブーイングが巻き起こる完全アウェーの状況。オーストラリアは2トップ(ケーヒル、アレックス)にロングボールを送り、そのこぼれ球を拾ってシュートまで持ち込む形を徹底した。日本は特にケーヒルのパワーと空中戦の強さに手を焼き、開始10分過ぎまでは押されっぱなしだった。高さに劣る日本のサイドバックが中へと絞ってくるのを狙って、ファーサイドにクロスを送るなど、「空中戦」という日本のウイークポイントを徹底的に突いてきたのである。

 しかし日本はここから押し返そうとする。長谷部誠がロングボールのケアを徹底するなど体を張った守備を見せ、日本は危ない時間帯を何とかしのぎ切る。26分にはその長谷部のインターセプトからカウンターで前田遼一のシュートにつながり、43分には抜け出した内田篤人が相手ゴールを脅かした。

【次ページ】 「蹴ってくるのは想定内」だったはずなのだが……。

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