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<メジャー登板徹底解説> 桑田真澄が見たダルビッシュ有の果てなき可能性。 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byGetty Images

posted2012/05/29 06:00

<メジャー登板徹底解説> 桑田真澄が見たダルビッシュ有の果てなき可能性。<Number Web> photograph by Getty Images
いまだ慣れぬ環境、完璧とはいえない状態にあって、
何故この若き天才は、結果を出し続けられるのか。
自身もメジャーのマウンドを知る桑田真澄氏が、
初登板から7戦目までのダルビッシュを解説する。

 僕は今まで、メジャーで50年、100年後にも大きく取り扱われる日本人選手はイチロー君だけだと言ってきました。でも、今のダルビッシュ君にもその可能性を感じます。身体能力と技術の両方がピカイチで、精神力も年々強くなってる。持って生まれた長身に加え、身体能力があり、トレーニング方法や食事の勉強、野球のこともよく考えてるし、心配なのは私生活くらい(笑)。

 僕は、彼のことを天才だと思ってるんです。なぜかというと、すごいボールを投げるピッチャーは過去にもたくさんいましたけど、とんでもなく速い豪速球を投げられて、しかも七色の変化球を操れた人は一人もいない。僕が天才だというのはそこなんです。彼は、まっすぐの他に、あらゆる変化球が武器になっている。そんなピッチャーは彼くらいでしょう。だからこそ末恐ろしい存在だし、メジャーの歴史にもその名が残るかもしれないと思うんです。

 4月9日のテキサス州アーリントン。ダルビッシュのメジャー初登板は、想像もしない結果となった。イチロー、川﨑宗則を擁するマリナーズを相手に5回3分の2を投げ、被安打8の5失点。フォアボールを4つ与えた以上にコントロールに苦しんだ印象は、4点を奪われた初回に費やした42球もの球数からもたらされたものだった。

 マリナーズ戦の初回は、ほとんど狙ったところに投げられなかったんじゃないかな。

 これほどまでにコントロールが定まらない原因は、二つあると思います。一つは、ボールの違い。

 日本のボールと比べてもひと回り大きく感じるし、明らかに滑る。しかも、ファウルとかワンバウンドで、審判から新しいボールが来るたびに不安になります。大きさも不揃いだし、縫い目の幅や高さもバラバラなので、ボール交換がいちいち気になるんです。

 まずはそのボールに、どれだけ早く慣れるかということ。滑るボールを気にしてしまうと、トップの位置にボールを持ってくるまでに滑らないようにしっかり握ろうとするため余計な力が入って、微妙にフォームを崩す原因にもなります。滑らないように意識することで今まで使わなかった部位を無意識に使いますから、肩やヒジへの負担も大きくなる。指にボールを馴染ませるための自分なりの工夫を早く見つけることが大事だと思います。

【次ページ】 メジャーのキャッチャーと日本のキャッチャーの違い。

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