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新人王有力候補のダルビッシュに、
早くも囁かれ始めたサイヤング賞。
text by
渡辺史敏Fumitoshi Watanabe
photograph byGetty Images
posted2012/05/31 10:32
サイヤング賞の受賞は、レンジャーズとの契約にも深く関わる。もし同賞を獲得し、その他の年も同賞の上位候補になれば、6年契約のところを5年契約で他チームに行く権利を得られる。さらに魅力的な球団へ早く移るチャンスも、この賞次第ということ。
5月27日のブルージェイズ戦で今シーズン7勝目、日米通算100勝を挙げたレンジャーズのダルビッシュ有。日本での注目度の高さは相変わらずだが、アメリカでもその評価と認知度はデビュー後着実に高まってきている。
そのことが如実に出ていたのが、ジム・ボウデン、ジム・ケイプル、ジェイソン・スタークらスポーツ専門局ESPNの解説者8人が、MVPなど主要賞を現時点で予想した企画の結果だ。ダルビッシュはエンゼルスの外野手、マイク・トラウトを抑え、ア・リーグ新人王のトップに位置づけられたのである。
3割ほどの打率をあげているトラウトもすごいとしながらも「防御率2.60(選考時)とイニング平均1三振以上を挙げているダルビッシュと比べるのは難しい」と評し、さらにトラウトが出塁率と長打率を合わせた指標、OPSで1.013といった好成績を残さなければ「ダルビッシュが逃げ切るだろう」としている。OPSは0.8を越えれば好打者とされており、例年1を越えるのはトップ打者クラスのみ。ダルビッシュがこのまま好成績を維持し、新人王を獲得するのは確実と見ているのだ。
新人王のみならずサイヤング賞との同時受賞もある!?
さらにリーグ最高の投手に贈られるサイヤング賞についてもダルビッシュはジャスティン・バーランダー(タイガース)、ジェイク・ピービー(ホワイトソックス)、ジェレッド・ウィーバー(エンゼルス)に続く4位に挙げられている。新人王とサイヤング賞の同時受賞は過去1981年のフェルナンド・バレンスエラ(ドジャース)だけで解説者らは「ここまで有力な結果を残している」とし、史上2度目の快挙の可能性は十分にあることを示唆した。
またスポーツ専門サイト、ブリーチャー・レポートのコラムニスト、ランス・リービス氏はそのものずばり「ユウ・ダルビッシュがルーキー・シーズンにサイヤング賞を獲る理由」と題したコラムを執筆している。その中で同氏はやはり投球イニングに対して三振が多いこと、さらにサイヤング賞を受賞するには好投手として強い印象を与えることが重要と解説。ダルビッシュは素晴らしいスタートによりそれらを実現しているとし、同賞の最有力候補となる要因を挙げた。