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オールスターで捧げた、
被災地へのメッセージ。
~ラグビーならではの支援を~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2012/04/18 06:01

同時期に震災に襲われた東北とクライストチャーチに縁のある選手たちが連帯を誓い合う。

同時期に震災に襲われた東北とクライストチャーチに縁のある選手たちが連帯を誓い合う。

 タイムアップのホーンが響いた。ラストワンプレー。オレンジのジャージーを着た15人がひとつの塊になると、スタンドから大きな歓声が上がった。

 3月25日、仙台で行なわれたトップリーグ・オールスター。年齢別に、30代の選手を中心に組まれたシニアチーム『オレンジ』は、ヤングチーム『グリーン』に43-73と大量リードされた後半ロスタイム、15人全員でモールを組み、22m線からゴールラインまでを押し切った。

「劣勢のときでも、最後まで、全員で力を合わせて戦う。被災地の皆さんに、そんなメッセージを伝えることはできたと思う」

 シニアを率いた中嶋則文監督(パナソニック)は敗戦にも胸を張った。

 勝ったヤングの主将、畠山健介(サントリー)も同じ感想を発した。「特にキンさんの最後まで諦めない姿勢は、見ている人に伝わったと思う」と、敵将大野均(東芝)の全力プレーを称賛。中でも後半、自陣から90mを独走したヤングの俊足WTB友井川拓(NTTコム)をひとり敢然と追走したプレーには、客席から熱い声援が沸き起こった。

大野均や元木由記雄らは、高校生相手にガチガチの肉弾練習。

 被災地に勇気を届ける行動は試合だけではなかった。前日は、オールスターを企画するトップリーグ・キャプテン会議のメンバーが、岩手県宮古市、宮城県気仙沼市、福島県いわき市でラグビークリニックを実施。気仙沼会場では小中学生の指導の後、大西一平・元神戸製鋼主将らが用意した炊き出しのハンバーグを、選手自ら仮設住宅を回って届け、津波に襲われた地を踏み、空気を吸い、地盤沈下で近くなった海を見て、黙祷を捧げた。

「おばあちゃんが笑顔になってくれたときは、涙が出そうなくらい嬉しかった。でも被災地の現実は今も想像以上。ラグビー界で、これからも支援を続けていかないと」(パナソニック・霜村誠一主将)

 いわき会場では、東芝の大野や元木由記雄・元日本代表主将ら猛者たちが、高校生にガチガチの肉弾練習を課した。

「楽しさだけじゃなく、激しい、痛いことを経験してもらうのも大切な支援です」

 仙台での開催を提案、実現に尽力したキャプテン会議の廣瀬俊朗代表(東芝)はそう言った。

 震災から1年は区切りではない。被災地に集い、現実と向き合い、体をぶつけあった勇者たちは、支援継続の熱いメッセージを東北に刻んだ。

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