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貫いた「ジャパンウェイ」。
新生日本代表、圧勝発進。
~'15年ラグビーW杯に向けて~ 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2012/05/19 08:00

貫いた「ジャパンウェイ」。新生日本代表、圧勝発進。~'15年ラグビーW杯に向けて~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

代表デビュー戦で初トライを挙げた田村。昨季NECではルーキーながら主力として活躍。

 昼過ぎまで降り続いた雨は、キックオフの午後3時に合わせたように止んだ。雨上がりの透明な空気の向こう、雲の隙間から、雪を被った天山山脈の峰々が祝福するように顔を出す。

 4月28日。東西の文化と歴史と民族が折り重なった中央アジア、カザフスタンのアルマティで行なわれた日本代表の今季初戦(対カザフスタン)。日本からはるか5000km。合宿地の大阪から14時間かけて移動、中1日で、標高800mの薄い空気の中の試合……そんなタフな条件に挑むように、新生ジャパンはピッチを駆けた。

 キックオフから1分半、ジャパンは7次攻撃まで小刻みにボールを動かし続け、FLマイケル・リーチの突破から初キャップのCTB田村優が先制トライ。けたたましくチアスティックを打ち鳴らしていた敵地の観衆が沈黙する。

 4月3日の初練習から、エディ・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、複数の選手がパスを捕れる位置にポジショニングして相手防御に的を絞らせない「アタック・シェイプ」の確立に取り組んできた。接点のパワーや個人技ではなく、ワークレートと判断力、鍛え上げたフィットネスで優位性を作る理詰めの戦術だ。

「まだまだ粗削り。満足はしていない。でも選手たちは疲れている中、やろうとしていることにチャレンジしたと思う」

 エディHCの評価は前向きだった。

外国人選手は高1から日本で育ったリーチのみ。

 初戦の布陣にも、エディHCが掲げたスローガン「ジャパンウェイ」がにじみ出ていた。先発15人のうち初キャップがNO8伊藤鐘史、CTB仙波智裕ら6人。4年以上の空白を経て返り咲いたのが廣瀬俊朗主将、FL佐々木隆通、SO小野晃征の3人。外国人選手は高1から日本で育ったリーチのみ。日本ラグビーで育ち、自分を高めた選手が、日本らしさを磨いて世界へ挑むというメッセージ。その結果が13トライ、87対0の圧勝発進だ。

「みんな、このラグビーを信じて貫こうという気持ちが見えた。いいスタートを切れたと思う」と話した廣瀬主将は、試合前の国歌斉唱から笑みを浮かべていた。

「テストマッチは特別だな。やっとここに帰ってこれたな、と思ったら嬉しくて。震災も経験して、プレーできる幸せを今まで以上に感じるし、試合に没頭できた」

 ユーラシア大陸の真ん中で、2015年W杯への、最初の一歩が刻まれた。

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