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レッドブルの失速で、
終盤戦は三つ巴の様相に。
~ベルギーGP以降の8戦を占う~ 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2011/08/25 06:00

レッドブルの失速で、終盤戦は三つ巴の様相に。~ベルギーGP以降の8戦を占う~<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

ハンガリーGPでベッテルは粘って2位を確保したが、マクラーレン勢の充実ぶりも窺えた

 失速の夏――。独走を続けてきた首位レッドブルが7月のヨーロッパラウンドで“3連敗”を喫した。イギリスGPでフェラーリのF・アロンソが遅すぎた今季1勝目を得た後、ドイツ&ハンガリーGPではマクラーレン勢が連勝。冷夏が続き、雨がらみのコンディションとなったこの3レースだが、それが彼らの直接的な敗因とは言えない。

 依然チャンピオンシップポイントではS・ベッテルが大量リードを保っている。しかしコース上でのスピード・アドバンテージは無くなった。第12戦ベルギーGPまでいまは「8月休戦」に入っているが、もしハンガリーからすぐ続いていたら、4連敗する可能性があったと思う。

 レッドブルとベッテルの強さは端的に言って、コーナー旋回中の維持速度の高さにあった。空力性能に特化した彼らのマシンコンセプトは、エンジン排気流を車体後部に精密に吹き付けてダウンフォースを稼ぎ、それを前後にバランス良く配分してクイックターン姿勢を可能にしていた。ベッテルはこの俊敏な挙動変化を積極的にマスターすることによって、昨季新王者となり、今季も独走してきた。

残り8戦、レッドブルはもう勝てないかもしれない――。

 が、イギリスGPに端を発した、エンジン制御の“緊急規制騒動”によって、排気流コントロール対策の変更を迫られ、これに対応している間にライバルチームはさまざまなアップデートを進めた。いわば日進月歩の開発レースで、レッドブルに“ブレーキ”がかかったわけだ。

 敵のピンチは我がチャンス。フェラーリは劣っていた空力性能を向上させ、高速シルバーストーンで結果を出した。マクラーレンは、メルセデスと共同開発しながら排気流コントロールの効率を上げた。これを低温・雨天の滑りやすいコンディションでしなやかに操ったJ・バトンが、さすが“200戦練磨”の技を発揮し、ベッテルを綺麗にパスしていった。

 大胆な終盤戦展望。残り8戦、レッドブルはもう勝てないかもしれない――いやベッテルは勝たなくてもいいのだ。大量リードを入賞完走で守り、ライバル勢同士が勝利を奪い合えばポイントはばらける。むきにならず、チームとして来季のコンセプトに集中するのが賢い。24歳ベッテルがV2戦略優先で守りに入るか、それともとことん攻めるか。休み明けのスパからモンツァで見たいのはそこだ。

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遠藤智のGP最前線

 

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