巨人が復調してきた。
開幕から主力選手の極度の打撃不振と故障者続出で低迷してきたが、8月に入って打線がようやく復調の兆しをみせてきている。特に8月3日の阪神戦から10日の横浜戦まででマークした7連勝期間中は3点、2点、11点、5点、5点、7点、8点と打線が爆発。それまで2点を取るのに四苦八苦していたのがウソのように、持ち前の力で圧倒する試合運びが戻ってきている。
そしてこの好調・巨人打線の中で、原辰徳監督がキーマンとして指名する選手が、プロ入り4年目の藤村大介二塁手だった。
「もちろんガッツ(小笠原)の復調や、ここ一番での慎之助(阿部)の勝負強さ、由伸(高橋)の活躍も大きい。ただ、打線の構成ということを考えたときに一番大きかったのが1、2番、特に2番に藤村を固定できたことだったと思う」
原監督は言う。
“野球の神様”は2番打者の特別な役割を見出していた。
野球では1番から9番までの打順がある。その中で投手を除くと2番だけが特別な打順だというのは、V9巨人を率いた川上哲治元監督だった。
「2番は打てるだけでは十分な役割を果たせない」
川上さんの言葉だ。
「2番には打つ以外にやらなければならない仕事が山とある」
V9巨人で最も多く2番を打ったのは土井正三内野手の526試合で、2番目が黒江透修内野手の277試合だった。しかし2番でのOPS(出塁率+長打率)を比較すると土井の.660に対して黒江は.750と高い数字を残している(データは小野俊哉著『全1192試合 V9巨人のデータ分析』による)。打撃だけを考えれば、明らかに黒江の方が上だったが、それでも川上監督は土井の「2番」に価値を見出していたということになる。
理由は様々だった。
例えば相手投手に球数を投げさせる打席での粘り。そして2番で123個のバントを決めた技術(ちなみに黒江は21個)……。ONというすさまじく打点能力の高い3、4番を有したチームだからこそ、2番打者は打つこと以上に、いかに走者を得点圏に進めて優位な状況を作り出すかが求められていたわけだった。
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