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イングランドに怪しげな“オイルマネー”が参入。~真の狙いは南ア利権?~ 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byAction Images/AFLO

posted2009/10/06 11:30

イングランドに怪しげな“オイルマネー”が参入。~真の狙いは南ア利権?~<Number Web> photograph by Action Images/AFLO

4部ノッツ・カウンティのディレクターに就任し、会見に臨んだエリクソン。キャンベルにかわる大物選手を入団させることはできるのか?

 5年契約を結んだわずか21日後に退団──。

 9月21日にノッツ・カウンティに別れを告げたソル・キャンベルの行動は、大いに物議を醸した。しかしながら、入団発表時の衝撃に比べれば、その騒ぎも取るには足らない。

 この夏、中東系の投資機関『Munto Finance』が、イングランド中部のノッティンガム州を本拠とし、リーグ2(4部)に所属するカウンティの経営権を握った。積極投資の公約と引換えに、事実上のオーナーだった『サポーター基金』の持株を無償で譲り受けた新オーナーは、即座にオイルマネーを駆使。フットボール・ディレクターとして元イングランド代表監督のスベン・ゴラン・エリクソンを招聘し、大物新戦力の第1号として元代表キャプテンのキャンベルを呼び寄せて世間の度肝を抜いたのだ。

弱小チームに大物2人が入団した理由は「オイルマネー」?

 カウンティはサッカー界で最古のプロ組織として知られる歴史あるチームだ。しかしクラブが最後に主要タイトル(FAカップ)を手にしたのはなんと115年も前の話で、現在の姿は「プロリーグ最下層部の弱小チーム」以外の何物でもない。2人はなぜカウンティへの入団を決めたのだろうか。

 考えられる最も単純な理由は「金」である。両名には週給換算で4万ポンド(約600万円)の年俸が提示されたと言われる。セミプロ一歩手前ほどのレベルであるリーグ2では前代未聞の高給だ。だが、既に億万長者並みの資産を蓄えている2人が、「トップレベル」のステータスとプライドを捨ててまでこだわる価値のある額かというと疑問も残る。多少は新経営陣が掲げる「弱小クラブのプレミアリーグ入り」という“夢”に共感した部分もあるのかもしれない。

 しかし、少なくともキャンベルは、早々に入団はミスだったと判断したわけだ。キャンベルが口にしている表向きの退団理由は、約束と現実との食い違い。当人は「ロベルト・カルロス(現フェネルバフチェ)やベンジャニ(現マンC)も加わると聞いていた」と言うが、たしかに他の“ビッグネーム”は加入していない。

想像以上のレベルの低さに絶望!?

 だが、翻意の本当の理由は、カウンティのレベルが想像をはるかに越えて低かったということだろう。

 入団会見の席で「レベルダウンの覚悟はできている」と言ってはいたが、昨シーズンのプレミアで14位だった古巣ポーツマスと、リーグ2で19位だったカウンティの間には、通算順位で「73」もの格差がある。トッテナムとアーセナルで名を成した名センターバックにとっては、3年前のポーツマス入りでさえ「ステップダウン」と言われたのだから、カウンティで味わった“カルチャーショック”は、想像を絶するものだったに違いない。キャンベルがクラブに契約破棄を申し出たのは、フィジカルなプレーに終始するモアカム相手に敗れてしまったデビュー戦から、わずか2日後のことだった。

<次ページに続く>

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