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追撃態勢が整った
高橋裕紀の今後に期待。
~モト2クラス序盤戦分析~ 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2011/06/11 08:00

開幕からの不振、弟・江紀の不慮の死もあり、厳しめの表情が多かった裕紀に笑顔が戻った

開幕からの不振、弟・江紀の不慮の死もあり、厳しめの表情が多かった裕紀に笑顔が戻った

 開幕戦カタールGPで5位、第2戦スペインGPで転倒リタイヤと序盤の2戦につまずいたモト2クラスの高橋裕紀が、第3戦ポルトガルGPで3位、第4戦フランスGPで2位となり、2戦連続で表彰台に立った。

 今年は昨シーズンのチャンピオンチーム、グレッシーニに移籍し、当然のようにチャンピオン候補の一角に挙げられた。それなのに序盤戦で苦戦した理由は、開幕直前にサスペンションのメーカーを換えたことにある。これまで使ってきた実績あるサスペンションは、どのサーキットでもデータがあり間違いがないのだが、サポートが薄く、ライバルも使っているためアドバンテージを築けない。

 チームはフルサポートを受けられるメーカーへのスイッチを選択。だが、テストをしてポテンシャルを確認したとはいえ、毎戦イチからのセッティングとなり、決勝を想定した走り込みが出来ない。結果的にデータ不足のため苦戦が続いた。

やっとシーズンのスタートラインに立った高橋裕紀。

 ポルトガルで3位になったレースは、実弟の江紀が交通事故で亡くなった直後の辛い精神状態での出場だった。特別な思いが裕紀を表彰台に立たせたとはいえ、新しいサスペンションではこれが限界と、はっきり知らされたレースでもあった。

 フランスGPを前に、裕紀はチーフメカニックのF・チェッキーニと相談の上、サスペンションを元に戻すことを決断。これが功を奏して今季初の優勝争いに加わる。2位表彰台という納得のいく結果に、裕紀の表情に笑顔が戻った。

「序盤の3戦は、タイヤが消耗してくると車体の動きがすごく敏感になった。今回はそういうのがなくて、最後まで攻めの走りが出来ました」

 チェッキーニは、昨年のT・エリアスのほか、故加藤大治郎をチャンピオンにした。そのため裕紀は絶大な信頼を寄せ、彼の言葉にはすべて従ってきたが、サスペンションの一件では、時には意見を押し通すことの必要性を痛感したはずだ。

 チャンピオンシップは、4戦を終えて2勝のS・ブラドルが総合首位。ブラドルから28点差の2位から6位までが3点差内でひしめく大混戦の中、裕紀は4位に浮上した。ここまでは、やや遠回りした格好だが、やっとシーズンのスタートラインに立った。裕紀のこれからの巻き返しに期待したい。

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