現在発売中のナンバー741号で、『島田オーナーが語る楽天的経営術』の記事を担当している。
取材のなかで島田オーナーは、野村監督と契約更新しなかった理由について、「コストを度外視するということはあり得ません」と話している。
2009年、野村監督の推定年俸は1億5千万円。これは巨人の原監督に次いで、日本人監督としては球界第2位の年俸だった。
| 球団 | 監督 | 推定年俸 |
|---|---|---|
| 巨人 | 原辰徳 | 2億円 |
| 中日 | 落合博満 | 1億5千万円 |
| ヤクルト | 高田繁 | 8千万円 |
| 阪神 | 真弓明信 | 8千万円 |
| 横浜 | 大矢明彦 | 8千万円 |
| 広島 | ブラウン | 4千万円 |
| 球団 | 監督 | 推定年俸 |
|---|---|---|
| ロッテ | バレンタイン | 5億円 |
| 楽天 | 野村克也 | 1億5千万円 |
| 日本ハム | 梨田昌孝 | 1億円 |
| ソフトバンク | 秋山幸二 | 1億円 |
| 西武 | 渡辺久信 | 1億円 |
| オリックス | 大石大二郎 | 5千万円 |
バレンタインの5億円は別格として、監督の年俸というのは、実績があれば1億円を突破するというのが相場のようだ。ただし、今や億単位のお金を手にするようになった選手と比べると、ずいぶん安いなあ……という気がしないでもない。
特にメディアへの露出を考えると、今季の楽天は、野村監督に関してはかなり「いい買い物」をしたと思う。
試合終了後のボヤキは定番となり、必ずスポーツニュースで取り上げられた。監督という職業は、チームを勝たせることはもちろんであるが、いい意味で注目を集める「PR力」も現代では問われている。
野村監督の発信力は球界随一のものであり、来季からボヤキが聞けないと思うとさびしい。
おそらく、楽天がニュースに取り上げられる機会も減るのではないか?
日米にわたって抜群の営業力を誇るバレンタインだが……。
そうしたPR力に恵まれていたのが、バレンタイン監督だった。千葉ロッテの監督を退任してアメリカに帰国後、すぐさまスポーツ専門チャンネル、ESPNのコメンテーターの座に収まった営業力には脱帽してしまう。
しかしコメンテーターよりも監督に就任したいのが彼の本音だろう。ストーブリーグに入ってから、クリーブランド・インディアンズとワシントン・ナショナルズの面接を実際に受けている。
特にナショナルズとの接見はうまくいったようで、本人の言葉を借りれば「素晴らしい面接だった」と話し、監督就任が有力視されていた。
ところが、フタを開けてみたら選ばれたのはジム・リグルマン(昨季シーズン途中でマリナーズの暫定監督だったので、ご記憶の方もいるだろう)だった。
どうやらこの決定にはバレンタイン本人も驚いたようだが、「来季に向けてもう準備しなきゃ。ESPNで何を話せばいいか」と来年はスーツを着て、コメンテーターに収まることを覚悟したようだ。
参考) “Valentine moving on after Nats' decision” MLB.com
ここ数年、バレンタインの名前は各球団の候補にあがっては消えていく、ということを繰り返している。去年はマリナーズの監督候補と報道されたこともあったが、最終的には契約に至らない。
その理由を調べていくと、どうやらネックとなっているのは、年俸のようだ。
<次ページに続く>
筆者プロフィール
生島淳
1967年気仙沼生まれ。早大卒。NBAやMLBなど海外ものから、国内のラグビー、駅伝、野球など、全ジャンルでスポーツを追うジャーナリスト。小林信彦とD・ハルバースタムを愛する米国大統領マニアにして、カーリングが趣味(最近は歌舞伎に夢中)。
著書に『慶応ラグビー「百年の歓喜」』(文藝春秋)、『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)、『監督と大学駅伝』(日刊スポーツ出版社)など。『BSベストスポーツ』(NHK・BS1毎週日曜21:10~)、『生島淳のアクティブスタイル』(TBSラジオ毎週日曜正午~)にも出演中。

































