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長野のドラフト指名拒否に見る、プロ野球選手会の矛盾 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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posted2008/12/25 00:00

 長野久義(Honda・外野手が)が06年の日本ハム(大学生&社会人ドラフト)4巡指名に続き、今年のロッテ2位指名も拒絶することが決定的になってきた(ロッテの交渉権は1月31日まで有効)。記憶違いでなければ00年以降の指名拒否は開田博勝(00年オリックス5位・三菱重工長崎)、福井優也(05年巨人・高校生ドラフト4巡・済美高)、木村雄太(06年横浜・大学生&社会人ドラフト3巡・東京ガス)に続き4人目・5回である。少ない拒否回数の中で2回も名前を刻んでしまったことは褒められることではないし、長野にとっても損だと思う。

 周囲にいた人間は説得しきれなかったのだろうか。最も理解できないのが選手会の態度である。昨年夏にはFA(フリーエージェント)権利取得期間の短縮をめぐって訴訟を起こす寸前までいった。結果的にFA取得期間は9年から8年(国内移籍に限る。また、昨年以降入団した大学・社会人出身は7年)に短縮され、2年後にはさらなる短縮をめざしていると聞く。

 希望していない球団に入っても最短7年で希望が叶う制度が実現しているのである。また、選手会は04年の球界再編騒動のときドラフト制度を支持し、自由枠の撤廃とウエーバー制度の実現を訴えた。それらは選手会のホームページにある「プロ野球の未来を考え、ファンにとって、球界にとって、魅力あるプロ野球にしていくためにはどうしたらよいか」という主張と同一のものだと思う。それなのに選手会は長野の問題をロッテまかせにして、介入しようとしない。「長野は巨人に入りたいのだから、職業選択の自由を優先すれば拒否するのは当たり前だ」という巨人の主張を支持するのだろうか。

 長野はまだプロの選手ではなく社会人野球の選手だから、日本野球連盟のテリトリーを荒らしたくないという意識があるのだろう。しかし、ドラフトというプロの制度が絡んだ問題である以上、選手会に口出しする権利は十分ある。また、長野は遠くない未来、組合員として待遇改善、地位向上を訴える仲間になる。そういう人間が迷っているのに何も言わないのは不誠実だし、「選手会は長野くんがロッテに入団することを希望する」と言えないのは、「ドラフトにおけるウエーバー制を支持する」と本気で思っていないからではないのか。

 自分たちに都合のいいことしか発言しない選手会は、「野球界をよくしたい」というより「プロ野球選手の地位向上」のほうにウエートがかかっていると言われても仕方ない。

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