SCORE CARDBACK NUMBER

渡り鳥、佐藤義則を
酔わせる投手とは? 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2008/12/18 00:00

 現在の球界では「プロ」のコーチが少なくなった。現役時代に在籍していた球団の功労人事として、コーチに就任するケースが増えたことが要因だろう。しかしオリックスを皮切りに、阪神、日本ハムを渡り歩き、来季から楽天投手コーチに就任する佐藤義則は、紛れもない「プロ」のコーチと言っていい。

 40歳でノーヒッターを達成するなど長期間活躍するための術を熟知しているし、'03年にはコーチとして阪神を18年ぶりの優勝に導き、日本ハム時代の '06、'07年には連覇を果たしている。さらに実績に裏付けられた野球理論を駆使し、多くの若手投手を育て上げているのである。

 その代表例が日ハム時代にダルビッシュ有を球界を代表するピッチャーへと成長させたことだろう。東北高時代にはスライダーでかわすピッチングスタイルだったダルビッシュを、150km台のストレートを投げ込む本格派へと変貌させたのは佐藤の手腕によるところが大きい。固い師弟関係は今でも健在で、楽天コーチ就任が決まった後、ダルビッシュが「ヨシさん(佐藤の愛称)のいうことは間違いない」と田中将大に電話でアドバイスを送ったという。「田中には伝えておきました。でも、ヨシさんにもアイツはぼくよりも走らないですよ、と言いましたけどね」と付け加えて笑っていたものだ。

 野村監督が佐藤に期待することは、田中と一場靖弘をひとり立ちさせ、楽天初のAクラス入りを果たすことである。

 「田中は着地する左足の角度を変えることでもっとスピードが出るし、一場は強靱な下半身作りが必要だ。秋季キャンプを見たけれど、日ハムに入った時の投手陣よりも素材は確実に上だね」と今から春季キャンプを楽しみにしている。

 佐藤が阪神入りした'01年秋、野村監督の突然の辞任でペナントレースを共に戦うことはなかった。それだけに今回こそは、と静かに闘志を燃やしている。

 日ハムを辞めることになった理由について本人は、監督に煙たがられたことと酒の飲みすぎと言うが、楽天でもスタイルを変えるつもりはないという。

 「監督にはきちんと意見を言うよ。それが仕事だからね。でも仙台に来てから、お酒は休日前夜だけにしたけど」

 果たして名伯楽は来シーズン終了後に、旨い酒を飲むことはできるだろうか。

■関連リンク► かつての師が見抜いたダルビッシュの不安要素。~佐藤義則の存在感~

関連キーワード
佐藤義則
野村克也
田中将大
ダルビッシュ有

ページトップ