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ハマの番長が男を見せた。横浜・三浦大輔の再出発。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2009/01/06 00:00

 阪神・金本知憲などFA宣言をして移籍する選手の多くは、ドラフト下位指名の場合が多い。今季2度目のFA宣言を行い、楽天に移籍した中村紀洋がその理由を説明してくれたことがある。

 「逆指名で入団したのに、結果を出していない人間を見ると腹が立ちますね。あいつらより評価されていなかったのか、って。必ず成績を残して、いい契約を勝ち取ってやる、って思いますもん」

 ドラフト6位で入団した三浦大輔も同じ思いだったのだろう。多額の契約金をもらったにもかかわらず活躍しない投手がいる現状に、不満があったとしても不思議ではない。しかし大方の予想を裏切り、横浜に残ることを決めたのだった。

 「金銭面だけでは決められない理由があった」と本人は言っていたが、慣れない新天地へ向かうことに抵抗があったのかもしれない。大阪に出向いて直接阪神に断りを入れ、その足で横浜の球団事務所に向かった。「一生で一番頭を使った」結果、横浜残留を発表したのだった。

 また三浦にはファンの声を無視することも出来なかった。ブログへの書き込みは1000を超え、三浦を兄貴分と慕う木塚敦志、加藤武治らの残留熱望にグラリときたのも確かだ。「自分には仲間がいる」と感じた時、金銭面よりも環境を選んだのだろう。

 三浦にはもう一つ残留を決めた理由があった。それは10年間遠ざかっているセ・リーグ制覇を、横浜で成し遂げることである。

 三浦が二桁勝利を挙げた年(通算6回)でAクラスに入れなかったのが一度だけ。つまり三浦が二桁勝つとクライマックスシリーズ進出が見えてくるのだ。

 「優勝っていいですか、と若手から聞かれた時、もう一度ベイスターズでしたい、と思うんです。あの時は心の底から喜び合えましたから」という三浦だが、当時を知るメンバーは引退、移籍などでチームメイトは様変わりしている。今思うのは契約条件よりも、優勝争いに加われなくなったチーム状況が、三浦にとって一番の不満だったのかもしれない。

 「あれだけ大騒ぎしても温かく受け止めてくれたファンのためにも、残り少ない野球人生に全力をかけたい」と言う三浦。誰よりもファンのことを考える番長が、横浜復活の鍵を握りそうだ。

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