「運動することの競合相手って、ネットだったりする」

　実は僕は今年の1月1日から努めて歩くようになったんですが、それも自分の身体の状態が良くなかったからです。BMIの値が27を超えてたんですが、標準値は25だから大丈夫と過信していたら、標準って22だったんだね（笑）。ひょっとして、これはヤバいんじゃないかと思って、まずは元日に東京駅から練馬まで歩いちゃった。2時間40分くらいかかったかな。それから歩くのが習慣になって、1カ月で4kg体重が落ちました。

　だからいまは走るのと歩くのを使い分けてます。歩くメリットは、じっくり考えごとが出来ること。歩く時は情報機器から離れて本質的なことを考えられるので、現在の市場には全く価値がないことを考えられる。これって、重要なことですよ。歩くリズムが脳に刺激を与えて、思考に新しい概念をもたらしてくれますし。

　歩くようになって感じたのは、歩くには時間が必要なので、前後の仕事を効率よくこなすようになったこと。運動することの競合相手って、ネットだったりするんだよね。情報を遮断して運動に情熱を向けると、「ワーク・ライフ・バランス」が取れてくる。そこが走ったり、歩いたりすることの面白いところじゃないかな。

◇　　　　◇　　　　◇

◆茂木健一郎さんへのQ＆A
    48歳、脳科学者。東京都出身

Q1 走りはじめたきっかけは？
6歳の時
自分が唯一勝てる種目だったので。校庭20周とかしてました。

Q2 どのくらいの頻度で走っていますか？
1回／週
歩いてる途中でも、革靴を履いてても走りたいときに。

Q3 走る日のタイムスケジュールは？
夜中にコンビニまでとか、細切れに走っています。5分でもいいから、走りたいときに走る。

Q4 お気に入りのコースは？
東京だと暗渠（あんきょ）になっている道。ああいうところは車の通りも少なくて走りやすいですね。

Q5 走るときに聴く音楽は？
音でさえぎると周りの気配が感じられなくなるので聞きません。カラスの鳴き声とか、風の音だって、ひとつの環境音楽ですよね。

Q6 今までのベストタイムは？
05:20:00
つくばマラソンで。30kmからは歩きました。