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アヤックスが見せつけた
清水の目指す「完成形」。
~ゴトビ監督流のサイド攻撃とは?~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/05/16 06:00

アヤックスとの試合でも、ドリブルでの仕掛けや裏への飛び出しで持ち味は出した伊藤翔

アヤックスとの試合でも、ドリブルでの仕掛けや裏への飛び出しで持ち味は出した伊藤翔

 今季J1開幕を前に、注目していたクラブがいくつかある。順位というより、内容的にポジティブな変化を見せる可能性がある、という意味での注目クラブだ。4月23日にリーグ戦が再開してからは、そうしたクラブを中心に見ているが、これがなかなかおもしろい。

 そのひとつが、ゴトビ新監督を迎えた清水。今季の清水は、日本ではあまりお目にかかれないほど、ピッチを67mの横幅いっぱいに使う姿勢が際立っている。

 最近では、Jリーグでも4-3-3や、4-2-3-1を採用するクラブが増えた。だが、“本場”スペインやオランダなどに比べると、両サイドに開いたFW(あるいはMF)が、ウイング然としていない。彼らはひとまずサイドに位置するものの、中央の組み立てに加わることも多く、ときにサイドで待つにしても、本場で見る“定位置”よりも、2、3mは中央に寄る。そのため、多くの試合で、ライン際には未使用のピッチが生じる。

清水がチャリティマッチでアヤックスに喫した大敗の意義。

 ところが清水の場合、第8節の横浜FM戦で言えば、3トップの右に大前元紀、左に小野伸二を配し、サイドに大きく開かせる。逆サイドにボールがあっても、それは徹底されていた。

 とはいえ、その清水も現在までのところ、布陣を生かした効果的な攻撃はできていない。横浜FM戦でアンカーを務めた岩下敬輔も、「どこかで縦に(ボールを)入れないと、横の揺さぶりだけでは苦しい」と認める。だが、それも含めて新たな挑戦は興味深い。今後、どう熟成されるのかは注目に値する。

 思えば、4月13日、アムステルダムで行なわれたチャリティマッチで清水がアヤックスに喫した0対4の大敗は、両クラブ間というよりも、まさに日本とオランダとの間にある、サッカーの質の違いによるものだった。

 清水は多くのJクラブがそうするように、人数を揃えて守備ブロックを作り、アヤックスの攻撃を待ち受けた。しかし、中央の小さな空間に縦パスを通され、慌てて寄せると、ボールはサイドへ。振り回された末にサイドで待っていたのは、鋭いドリブルや高精度のクロスである。

 Jリーグの中断期間に、偶然にも本場で触れた絶好の手本。今季の清水が目指す先を考えれば、チャリティとはまた別の意義があったことは間違いない。

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