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730号 掲載記事
photograph by REUTERS/AFLO
SCORE CARD

西岡の海外防衛戦が示す
ボクシング界の台所事情。
~海を渡る日本人王者の時代~

前田衷 = 文

text by Makoto Maeda

photograph by REUTERS/AFLO

 初回にダウンを奪われたアウェーのリング。しかし、ピンチにも顔色ひとつ変えず、迎えた3回。ここで自己ベストショットとも言うべき左ストレート一閃――。

 5月23日、メキシコ・モンテレーで行なわれたWBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチで、西岡利晃は難敵と評判の高かったジョニー・ゴンサレスを深々とキャンバスに沈め、見事逆転TKO勝ちで王座を守った。トドメの左は、ミット打ちで何度も反復練習していたとっておきのパンチだ。

 いつもはクールな男が、顔を歪めて勝利の雄叫びを上げた。敵地の1万人を超す観衆のブーイングを一撃で黙らせたのだから、これほどの痛快事はあるまい。

経済大国であるがゆえに閉ざされた海外防衛戦。

 日本人世界王者の海外防衛は渡辺二郎以来24年ぶり――徳山昌守もカウントすべきだという説を入れれば、日本のジム所属王者としては8年ぶりとなる。いずれにせよ、日本のチャンピオンが海外に出て防衛すること自体が滅多にないのだから、今回のような劇的勝利が感動を呼ぶのも当然である。

 これまで日本の王者たちがほとんど海外で戦わなかったのは事実だが、それは選手個々の意思ではなく、興行的理由による。誰でも負けるリスクの高い敵地の試合を好んでやる者はいない。しかも、わが経済大国のテレビ局のバックアップもあり、相手側が高額の報酬を期待して日本で戦いたがったのである。

世界同時不況がビッグマネーへの道を切り開く。

 だが、今や事情は一変した。テレビ局も以前ほど視聴率の取れないボクシング番組の制作に積極的でなく、しかも最近の経済不況も加わって放映権料も激減。となると、どうなるか。「これからは日本のチャンピオンも向こう(外国)に出かけるケースが増える」と、西岡、粟生、ホルヘ・リナレスの3人の世界チャンピオンを抱える帝拳ジム本田明彦会長が予言していたが、これも必然だろう。

 もちろん、誰もが海外で稼げるという、ものではない。今回の西岡のように、敵地で強敵、人気選手と対戦する機会を掴み、これを倒すことで、さらにビッグマッチ、ビッグマネーへと繋がっていく。とくに軽量級では、本場アメリカでメキシカンの強豪を倒していくことが、成功への近道だ。アジアの英雄マニー・パッキアオがそうしたように、である。

■関連コラム► アメリカの英雄となったパッキャオの次なる目標。 (09/06/02)
► アウェーへ乗り込む王者・西岡利晃の目算。 (09/03/26)

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