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伝説の女王ナブラチロワ、47歳にして全仏へ挑む。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2004/06/03 00:00

伝説の女王ナブラチロワ、47歳にして全仏へ挑む。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 47歳の元女王マルチナ・ナブラチロワが、24日から始まる全仏テニスで、10年ぶりに4大大会のシングルスに出場する。シングルスの世界ランキングがないため、大会推薦枠での出場となる。

 ナブラチロワは、'94年にシングルスから引退。'02年に1大会に出場しただけで、10年もシングルスの本格的なプレーから遠ざかっていた。ダブルスは、シングルス引退後も年に数大会プレーし、'00年からツアー完全復帰を果たした。昨年は7度の優勝を数え、ダブルス世界6位と健在ぶりを示した。

 ナブラチロワが作ったツアー通算167度のシングルス優勝は、男女を通じて史上最多となる。18度の4大大会優勝は歴代4位。昨年の全豪の混合ダブルスで優勝し、女子では3人目の4大大会全種目を制した選手となった。特にウィンブルドンではめっぽう強く、全種目で最多の20度の優勝を誇っている。まさに女子テニス界の伝説だ。

 この年齢までナブラチロワがプレーできるのにはわけがある。彼女はシングルスの現役時代、プレーのコーチだけでなく、フィットネスとメンタルのトレーナー、栄養士らの専門家を雇い「チーム・ナブラチロワ」を結成。徹底した肉体改造を行ったことで、歴史に残る選手に成長した。そのストイックなまでの健康管理と鍛錬こそが、今でも彼女のプレーが衰えない源となっている。

 しかし、すでに47歳。とてもシングルスでは歯が立たないと思われた。それが、全仏の試運転として出場した4月の2大会で、全盛期を彷彿させるプレーを随所に発揮。ともに1回戦負けとはいえ、周囲を驚かせた。それでも全仏のプレーは厳しい戦いとなる。サーブとネットプレーを得意とするナブラチロワは、速いリズムで勝負する。粘りと忍耐が勝負を決する全仏の赤土は、彼女とまったく正反対のスタイルが要求されるコートだ。

 すでにテニス界では、すべてのタイトルを獲得した。最後の夢が、五輪の初出場とメダル獲得である。今年はアテネ五輪があり、彼女は米国代表としてダブルスでの出場を狙っている。ダブルスの実力を増すためにも、シングルスで全盛期のプレーの勘を取り戻す。それが全仏挑戦の理由だ。五輪のメダル獲得に向け、すでに今年で完全引退を決めているテニス界の伝説が、最後の難関に挑む。

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