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ウィンブルドンで大英帝国の逆襲なるか。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2004/07/01 00:00

ウィンブルドンで大英帝国の逆襲なるか。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 6月21日から2週間にわたり、英国でウィンブルドンが開催される。毎年、その期間は、英国中がテニス一色となり、日本と同様に地元選手の活躍に一喜一憂する。しかし、近代テニスが発展し、ウィンブルドンという世界最高峰の大会を開催しながら、英国は、長い間、地元選手の優勝から見放されている。特に男子シングルスは、決勝進出が1938年のオースチンが最後。優勝となれば、'36年のペリーまでさかのぼらなくてはならない。女子シングルスでも、'77年のウエードが決勝進出および優勝の最後の選手である。英国は、シングルスの決勝で、少なくとも26年間も地元選手を見ていないことになる。

 この数年で、最も優勝に近づいたのは、男子のティム・ヘンマンだ。'98 、'99 、'01

、'02年の4度、ベスト4に進み、決勝まで残り1勝とせまった。その度に、英国全土が、すわ何年ぶりの決勝進出かと色めき立つ。「ヘンマニア」と呼ばれる熱狂的なファンが増え続け、会場内にある大型モニターの前の小高い丘は、ヘンマンを見る観客が集まるため「ヘンマン・ヒル」と呼ばれている。ウィンブルドン以外の4大大会で、今年までベスト8に入ったことのなかったヘンマンが、地元では、ウィンブルドンの度に多くの支持を受けるのだ。そのヘンマンが、先に行われた全仏で、初めてベスト4まで進出した。ヘンマンは、ウィンブルドンで好成績を残すだけあって、芝生の速いペースを好み、サーブ&ボレーの短期決戦型である。しかし、全仏の赤土は、最も遅いペースで粘りを必要とするため、ヘンマンの最も苦手のコートだ。その全仏でベスト4に進んだことで、続くウィンブルドンへの期待はますます高まっている。

 テニスの究極のスタイルは、すべてのショットを最高のスピードで打ち、それがすべて入ることだろう。それに最も近いのは、現在ではサーブ&ボレーの短期決戦型だ。安全性を重視し、回転をかけた球を多用するストローク中心のスタイルは、究極のスタイルからはやや遠いところにいる。ヘンマンが全仏の準決勝で見せたプレーは、敗れたとはいえ、その究極のスタイルに近いものがあった。

 地元の男子として、66年ぶりの決勝進出、68年ぶりの優勝に挑むヘンマンの夏が、今年もやってくる。。

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