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群れない男、真弓明信はタイガースを変えるか。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2008/12/04 00:00

 新監督の顔ぶれを眺めているとセ・パ12球団の共通項が見えてくる。それは各球団の栄光を支えた優勝メンバーを重用し、監督就任を打診するというものである。福岡ソフトバンクホークスの新監督、秋山幸二は'99年ダイエー初優勝時の主力。また阪神タイガースの新監督、真弓明信も21年ぶりの優勝を成し遂げた'85年当時の中心選手の一人だった。

 真弓新監督誕生の裏側には、岡田彰布前監督が真弓を推して球団のフロントを納得させた、という事情があったようだ。野村克也、星野仙一と外様監督が続いたが、これからは阪神出身監督が続いてほしい、という岡田の願いもあるいはあったのかもしれない。

 真弓自身は関西財界や親会社の人脈に取り入るようなことをするタイプではなく、人脈や縁故を優先する球界の中では珍しい存在である。そのため初めて指導者になったのは、引退から5年後の'00年、梨田昌孝・近鉄バファローズ監督の下でのことだった。

 当時の担当記者は「黙って見ていることが多く、すぐに手を取って教えるようなことはしなかった。相手を見極めようとする人だった」と言う。安芸での初秋季キャンプでも、新監督として目を惹くスローガンを掲げるなど派手な動きをせず、「やるのは特守だけ」と守り主体でチームを始動させた。阪神の新監督にしてはやや地味なスタートだったが、これこそが真弓の持ち味なのだろう。

 その一方で野球に対する熱い思いもある。野手チーフコーチの岡義朗は「朝まで野球説法を真剣にやれる男」と言っているし、近鉄時代からの盟友、久保康生投手コーチも「野球に対して一切妥協しない人」と真弓のことを表現している。

 4年連続Aクラスの後任監督という順風満帆のスタートに見えるが、阪神には解決すべき問題が山積している。そのひとつに今季夏の失速の原因とも言える主力選手の高齢化がある。世代交代に手腕が試されるが、真弓は「結論はそんなに急がなくてもいい」と言って、あせることなく課題に取り組む様子を見せている。

 じっくりと選手を見極め、ひとりひとりの人柄を把握することでナインの信頼を獲得しようとする真弓新監督。群れずに難題に立ち向かう監督の誕生に、新しい阪神の姿が見えてきた。

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