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伝統の灯を消すな!「週刊ゴング」廃刊騒動。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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posted2007/03/22 00:00

 春の嵐では済まされない。筆者にとっては穏やかならざる出来事だ。ひな祭りの日に噴出したプロレス雑誌「週刊ゴング」の廃刊報道騒ぎである。知人や関係者からは「いますぐ事実を確認して欲しい」と数本の電話があった。

 事の発端は2月19日、発行元の日本スポーツ出版社の前田大作前社長が、関連のコンピューター関連機器会社「アドテックス」の資産隠し事件絡みで逮捕され、同誌の存続問題が一気に表面化した。ただし、直後にネットで流れた「廃刊決定」というニュースは、ややフライング気味と思われたが、ノアの3・4日本武道館や新日本の旗揚げ記念日、3・6後楽園ホールで同誌のスタッフに声をかけると「確かに辞めた人は何人かいますが、最後まで頑張ってみますよ」と語っていた。月刊誌からスタートして39年。伝統の灯を消すな! と言わんばかりに現場で動き回る彼らの姿に切なさを感じた。

 今回の騒ぎはプロレスの地盤沈下がそのまま露呈した一件だ。アントニオ猪木のセリフではないが「プロレスに元気がなければ、出版物も元気が出ない」のだ。

 単なる世間の活字離れでは片付けられない、業界全体のテーマが課せられている。

 「週刊ゴング」は、スポーツ出版の老舗ベースボール・マガジン社発行の「週刊プロレス」と激しく競い合い、“千の顔を持つ男”ミル・マスカラス全盛の'70年代後半にかけて発行部数45万部強を誇った。サイド・ストーリー、コラムを重視し、学生、サラリーマン層に支持された週プロに対し、ゴングはグラビア記事が多く、マニアックなファンに受けた。ゴングには竹内宏介(日本スポーツ出版社・元社長)、週プロにはターザン山本という名物編集長がおり、プロレスの黄金期に誌面で互いに熱い火花を散らしていたことも記憶に焼きついている。

 筆者もゴングには昭和43年(1968年)の創刊時からお世話になった。20年続いた誌上座談会『三者三様』(昨年11月末で終了)では担当メンバーだっただけに、やはりどこかに寂寞感が残る。同誌はいまでも実売部数が4万強と聞く。

 3月下旬には、全日本のチャンピオンカーニバル(後楽園ホール5連戦)がある。その成功を引き金に奇跡は起こらないものか。今年の桜の開花は早い。小誌発売の頃には事態の好転を祈りたい。

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