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不人気totoが左右する日本スポーツの行く末。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2004/06/17 00:00

 サッカーくじ(toto)の不人気が、ついに五輪の選手強化にも影響を及ぼし始めた。現在、日本オリンピック委員会(JOC)認定の五輪強化指定選手は、日本スポーツ振興センターから毎月一定額の強化費を支給されている。この強化費はスポーツ振興基金からの助成で、政府からの出資金や民間の協賛金などを原資としている。これらに加えて'01年度にtotoが始まってからは、その収益からの繰入金も入るようになり、メダルが狙える「エリートA」選手には月額20万円、それに次ぐ「エリートB」選手には10万円、AとBのスタッフにも各10万円が支給されてきた。ところが近年の低金利で原資が目減りした上、期待していたtotoからの繰入金も'04年度はついにゼロとなり、やむなく夏季競技の選手については今年10月から12月までの3カ月間、支給を停止することになった。強化費の支給は1990年から始まったが、一時的とはいえ支給が滞るのはもちろん初めてのことである。

 確かにtotoの不人気は深刻だ。初年度の'01年度こそ642億円の売り上げがあったが、'03年度には3分の1の200億円まで落ち込んでいる。これでは繰入金がなくなるのも無理はない。totoの実施には当初から賛否両論あったが、JOCや各競技団体は強化費の財源として大きな期待を寄せていただけに、落胆も大きいに違いない。

 戦後の日本のスポーツ界は、常に選手強化費をどこから捻出するかで頭を悩ませてきた。企業中心の強化が行き詰まった'80年頃からはJOCが中心となって「がんばれ! ニッポン!」キャンペーンを実施し、独自の財源確保に努めてきた。'90年代に入ると更に商業化を推し進め、商標登録による使用料収入やイベント実施など、様々な分野に進出して収益の増加をはかってきた。だが、その過程で選手の肖像権の一括管理が問題となるなど、結局は国からの助成金に頼らざるをえないのが実情だ。

 選手の育成は一朝一夕にはできない。今後もtotoの人気回復が見込めないのであれば、新たな財源を確保しなければならない。今夏のアテネ五輪では久々に大量のメダル獲得が期待されている。このいい流れを4年後の北京大会につなげるためにも、関係者は早急に対応策を検討する必要がある。

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