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バトンの天才・稲垣正司、目指すは世界大会10連覇。 

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photograph byGunji Maeda / Japan Sport Baton Association

posted2004/07/15 00:00

バトンの天才・稲垣正司、目指すは世界大会10連覇。<Number Web> photograph by Gunji Maeda / Japan Sport Baton Association

 発祥の国はアメリカ。だが今や日本の“お家芸”として世界から賞賛と喝采を浴びるスポーツ、それがバトントワリングだ。

 何しろ実績が凄い。'92年のフランス・パリでの世界選手権大会以来、日本は国別総合成績で12連覇という快挙を成し遂げている。

 ゆめゆめ「たかがバトン」などと思うことなかれ。選手たちは、銀色のバトンを生き物のように操りながら、宙返りやハイジャンプなど体操選手顔負けの演技を見せる。繊細かつアクロバティック――。バトントワリングでは、異なる2つの世界が融合するのだ。

 常勝・日本チームのエースであり、圧倒的な技術の高さから「バトンの申し子」と呼ばれるのがバトントワラーの稲垣

(26)。これまで男子個人シニア部門で9連覇を成し遂げ、25回目の記念大会となる8月の大阪大会で前人未到の10連覇を目指す。

「バトンを始めたのは6歳のとき。2つ年上の姉が地元のクラブで習っていて、自分でもやってみたくなったんです。バトン競技者の90%以上は女性ですけど、特に抵抗はありませんでした。姉と仲が良かったからかな?」

 持って生まれた才能は瞬く間に開花した。世界選手権では11歳から5年連続でジュニア部門優勝。シニア部門に移った初年度の'94年こそ3位だったが、以降の大会では表彰台の真ん中がいつも稲垣の指定席だ。

「こんなことを言っては競技者として失格かもしれないけど、金メダルに対する執着はそれほどないんですよ。人を蹴落とすスポーツではないし、問題は自分がイメージした通りに演技することができるかどうか。それが出来れば、結果は後からついてくるでしょう」

 日本での世界選手権の開催は'88年の名古屋大会以来、16年ぶりとなる。2分半の演技時間を彩る曲として、稲垣はジョシュ・グローバンの「YOU RAISE ME

UP(私を高めてくれた人たちに)」を選んだ。

「今回は日本での大会なので、両親や恩師、友人に自分の演技を直接見てもらえるのが嬉しいんですよね。自分はバトンとバトンを通じて出会ったたくさんの人に育ててもらったと思っています。そんな皆さんへの感謝の意味を込めて、この曲を選びました」

 演技者として20年目という節目を迎えた稲垣。第一人者が見せる熟練の技に注目だ。

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