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川崎と大宮、昇格組の明暗を分けたもの。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byTamon Matsuzono

posted2005/11/10 00:00

川崎と大宮、昇格組の明暗を分けたもの。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

 試合終了直前、自らが犯したファウルでPKを献上。それが決勝点となって、ウクライナに敗れたのだから、29歳での初代表、箕輪義信にとっては、辛いデビュー戦だったに違いない。

 だが、箕輪に期待されていたのは、DFとしての高さと強さ。相手に競り負けての失点ならともかく、特長を発揮した結果の──しかも不可解な──PKなのだから、下を向く必要はない。

 とにかく、この試合で、箕輪は国際Aマッチ出場「1」を記録した。これは同時に、川崎フロンターレにとっても、初キャップ。川崎はクラブの歴史に、新たな1ページを加えたわけである。物は考えようで、悪夢のファウルさえ、箕輪にとっても、川崎にとっても、その名を全国に知らしめる好機となっただろう。

 これはいかにも、現在の川崎の勢いを象徴している。前半戦は黒星が先行したものの、大型3バックと破壊力抜群の3トップを献身的な中盤がつなぐという戦い方が徹底されるにつれ、順位も急浮上。クラブ新記録となる6連勝での5位(28節終了時。以下、記録は同じ)は、昇格1年目としては、大健闘と言っていい。箕輪が自身の代表初招集を、「クラブあってこそ」と語る所以である。

 その一方で、破竹の勢いの川崎とは対照的に、同じ昇格1年目の大宮アルディージャは苦戦を強いられている。

 当初、大宮は川崎を上回るペースで、勝ち点を積み重ねていた。開幕戦で、現在首位のG大阪に完勝するなど、前半戦は五分の星を残した。個々の能力で劣る分、J2時代からベースの変わらない組織と、ハードワークでカバーし、紙一重の試合を拾ってきた結果だ。

 だが、質量両面で、選手層の薄さは隠しきれなかった。ジュニーニョ、マルクスがケガで抜けても、黒津勝、フッキらが痛手を最小限に抑えた川崎とは対照的に、チーム得点王のクリスティアンをサンパウロ移籍で失ったことがきっかけとなって、大失速。一時は、J1残留も安泰かに見えたが、泥沼の7連敗で、もはや降格危機に片足を突っ込んでいる。

 明暗くっきりの両昇格組。最近の日本代表を見ていると、この大宮をはじめ、下位に低迷するクラブの選手はほとんど見当たらない。なるほど、クラブあってこそ、である。

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