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予想以上の惨敗。トリノで学んだ教訓とは。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2006/03/23 00:00

 トリノ冬季五輪が終わり、日本オリンピック委員会や各競技団体では早くも敗因の分析が行われている。遅塚研一日本選手団長も記者会見で「大会前はメダル5個を目標に掲げていたが、結果的に金メダル1個に終わった。なぜこうなったのか、今後詳細に分析して新しい強化策を構築しなければならない」と、早急に再建に取り組む姿勢を示した。

 メダル数が目標に達しなかった原因はいくつか考えられる。真っ先に思い浮かぶのは調整の失敗だ。直前に風邪で体調を崩した選手が続出し、故障者も多かった。もちろん、選手たちが加湿器やうがいの励行で風邪対策に取り組んでいたことは知っているし、故障は不可抗力だ。だが、4年に1度の五輪にベストの状態で臨めなかった以上、調整ミスと言われても仕方ないだろう。

 もう一つは「情報不足」と「認識の甘さ」だ。典型的な例はスノーボードで、北米の有力選手が出場していないW杯の成績を過大評価し、本番で墓穴を掘った。W杯の成績があてにならないことは長野やソルトレイクシティーでも経験済みで、北米の選手に関してはもっと詳細な情報を入手し、対策に本腰を入れるべきだった。「敵を知らず、己も知らず」ではどんなに実力があっても勝つのは難しい。

 期待が大きかっただけにどうしても厳しい言葉が並んでしまうが、同情すべき点もある。夏季競技に比べ、常に雪と氷が必要な冬季競技は練習環境に大きな制約がある。通年で使用可能な国内リンクはほとんど存在せず、温暖化による雪の減少で、スキーの選手たちは一年の大半を海外で過ごさざるをえないのが実情だ。長引く不況で企業の支援は減る一方、しかも競技人口自体も年々減少している。選手個々の努力では補いきれないほど、冬季スポーツを取り巻く環境が厳しくなっていることは事実だ。

 今の日本に必要なことは、何よりも創意と工夫だろう。フィギュアスケートはジュニアの育成に十数年の歳月をかけて金メダルを手にした。アルペンの皆川賢太郎も、長年にわたる海外経験を生かして見事に4位入賞を果たした。ブームにもなったカーリングの健闘も、明るい材料の一つだ。今回の失敗を次に生かせば、必ず4年後のバンクーバーではメダルが量産できるはずだ。

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