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“ジンクス王”テリーが心に秘めるリベンジ。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2007/02/08 00:00

 ジェイソン・テリー(ダラス・マベリックス)の迷信深さは有名だ。試合の前の晩はできる限りのつてを使って手に入れた対戦相手のショーツを穿いて寝る。試合前にはチキンを食べ、試合ではソックスを5足重ねて履く。

 そこに今シーズン新しく加わったのが、NBAトロフィーが縫いこまれたNBAファイナル仕様の黒ソックス。これを練習や家で履き、特に夜は必ず履いて寝るのだという。昨季のNBAファイナルで2戦先勝し、しかも第3戦も4Q半ばで13点リードしながらも、4連敗でトロフィーを手にすることができなかった悔しさを忘れないためだと言う。

 もちろん、あの悔しさはたとえソックスがなくても、忘れようとしても忘れられない思いだった。

 「口には出さないけれど、あのファイナルのことはチームの誰も忘れていない」とテリーは言う。

 1月21日。シーズンの折り返し点を通った直後の42試合目で、テリーの属するマブスは6月の悪夢の地、マイアミに戻った。シーズン前半の成績はリーグ最高の33勝8敗。対するヒートは大黒柱のシャキール・オニール(膝手術)とヘッドコーチのパット・ライリー(股関節手術)を欠き、18勝21敗と5割を下回る成績で、王者の面影がないどころか、プレーオフ出場すら危ういチーム状況だ。それでもマブスにとって、これは悪夢を断ち切るためにも負けられない試合だった。前夜、選手たちには10時という異例なほど早い時間の門限が言い渡されたのだから、気合の入り方がわかるというものだ。

 試合では終始主導権を握りながら最後にヒートに追い上げられ、4Q残り3分半で同点に追いつかれた。まるで悪夢の始まりだったファイナル第3戦の再現のようだったが、ここからが昨季とは違うところ。すぐに主導権を取り戻し、敵地で貴重な6点差の勝利をあげた。

 もちろんこの勝利で昨季の雪辱が果たせたわけではない。目指すはヒートに勝つことではなく、再びファイナルの舞台に立ち、今度こそ優勝を手にすること。

 第一、テリーのトロフィー・ソックスの在庫は20足余しかない。テリーは言う。

 「洗濯して、いつもきれいなのを履くようにしてはいるけどね。今年もファイナルに行って追加をもらってこなきゃ」

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