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<新ペア結成の決意> 浅尾美和 「あとがないのは分かっている」 

text by

吉田亜衣

吉田亜衣Ai Yoshida

PROFILE

photograph byMiki Fukano

posted2011/03/08 06:00

<新ペア結成の決意> 浅尾美和 「あとがないのは分かっている」<Number Web> photograph by Miki Fukano
結果が残せず、失意のまま幕を閉じた昨シーズン。「失敗は繰り返さない」と、決意を新たにする浅尾美和が今だから語れる昨年の反省、そして今シーズンに懸ける思いとは。

 春の陽だまりを思わせるベージュ色のシートの前に、白いスポーツウエアを身にまとった浅尾美和が立っている。シャッターが切られるたびに、シートに反射したストロボの光が容赦なく浅尾の全身にふりかかる。

「もういい大人になりましたよ」

 撮影中、そう言って落ち着きのある笑みをもらした浅尾は、2月2日で25歳になった。'06年、『ビーチの妖精』という愛称でブレイクして以来、女子スポーツ選手の中でも高い人気を維持し、いたるところでフラッシュを浴びてきた。

「私がグラビアなどの仕事をして注目してもらうことで、たくさんの人たちにビーチバレーに興味を持ってもらえるとうれしい。その期待に応えていきたい」

 当時は、まだ20歳になったばかりだった。エネルギッシュで大きな可能性を秘めた浅尾の言葉は、すぐさま現実のものとなった。「浅尾が動けば、メディアも動く」と謳われ、それまで陽の当たらなかったビーチバレーは、浅尾の動向が報道されることで一気に広まったといっても過言ではない。

 撮影の合間、そんな若き日の思い出話をふると浅尾はためいき交じりに言った。

「もう……、世間の方々はビーチバレーというスポーツがあることを分かってくれたと思うし……、私の役目はもういいんじゃない?って昨年は思ったこともありました。勝ってもいないのにメディアで取り上げなくてもいいのにって」

 そんな想いが渦巻いていたという昨シーズンは、浅尾にとってこれまで味わったことのない、もがき苦しんだシーズンだった。

草野と組み、期待を持ってスタートした2010年だったが……。

 '09年11月。浅尾は4年に渡ってペアを組んできた西堀健実とのペアを解消した。その1カ月後には浅尾と同級生ながら、すでにJBVツアーで優勝経験のある草野歩と新ペアを発表。早々と'10シーズンのスタートを切った。

 浅尾は、線の細さを補うため、オフシーズンから体幹の強化やジャンプ系のトレーニングを精力的にこなしてきた。その甲斐あって、開幕を迎える頃にはレフトポジションからのスパイクは、打点が高く空中を切り裂くほどの鋭さがみなぎっていた。

 浅尾の高さと、パワフルなプレーが売りの草野。お互いの長所を融合させ、世界に通用するチームを目指してきたはずだった。

「シーズンが始まる前に描いていたものは、蓋を開けてみたら、全然違うものになりました」

【次ページ】 守備の弱点から悪循環が始まり「心と体がバラバラ」に。

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