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ダスティ・ベイカーと最大の宿願。
~名将が狙うWシリーズ初制覇~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2011/03/01 10:30

ダスティ・ベイカーと最大の宿願。~名将が狙うWシリーズ初制覇~<Number Web> photograph by Getty Images

選手時代も、1977年、1978年にワールドシリーズに進出したが、リング獲得はならなかった

 2011年の大リーグ開幕が近づいてきた。

 まだかなり時間はあるが、やはりこの季節は気が逸る。順位の予想は少し先のことにさせてもらうとして、今回は監督たちの動向に眼を向けてみたい。

 最大の特徴は、ここへ来て長老の退陣が相次いだことだ。

 2010年には、まずルー・ピネラ(1943年生まれ)が去った。ついで、ジョー・トーリ('40年生まれ)、ボビー・コックス('41年生まれ)、シト・ガストン('44年生まれ)らが辞意を表明した。

 彼らの戦績はそろって赫々たるものだった。トーリが通算2326勝、コックスが通算2504勝、ピネラが1835勝。監督歴の短かったガストンだけは894勝にとどまるが、4人に共通しているのは、いずれもワールドシリーズ制覇の経験を持つことだ。

 だが、ヴェテラン監督のすべてが引退してしまったわけではない。

 残った大物の筆頭に挙げられるのはトニー・ラルーサ('44年生まれ。カーディナルス。通算2638勝)だろう。ジム・リーランド(タイガース。1493勝)やチャーリー・マニュエル(ともに'44年生まれ)も、まだまだ現役感が濃厚だ。マニュエルなどは、監督期間が短いし(764勝しかしていない)、ナ・リーグの本命フィリーズを率いているのだから、もうひと花もふた花も咲かせるつもりにちがいない。この3人にも、引退した4人と同様、ワールドシリーズ制覇の経験がある。

 となると、反射的に思い浮かべてしまうのは、ダスティ・ベイカーの名前だ。

通算成績も勝率も申し分無しだがWシリーズ制覇の経験が無い監督。

 ベイカーは'49年生まれだから、いま挙げた7人に比べると少し若い。

 通算成績=1405勝は立派なものだし(通算勝率も5割2分2厘)、2002年のジャイアンツや2003年のカブスを率いて球界に風雲を呼んだときの雄姿は、いまも記憶に新しい。昨2010年も若いレッズを地区優勝に導いたくらいで、その手腕に異議を唱える人はいないはずだ。

 だがベイカーには、ワールドシリーズ制覇の経験がない。

 最も接近したのは'02年だ。このときは、最後の最後でエンジェルスの前に涙を呑んだ。'03年のNLCS(リーグ優勝決定戦/対マーリンズ)では、球史に残る「運命的な」敗北を喫してしまった。ジャイアンツが地区優勝を飾った'97年や2000年も、NLDSの壁を突破できなかった。

 これほどの通算勝利数を獲得しながら、ワールドシリーズに縁のない監督は、そういない。第一に浮上するのはジーン・モーク(エクスポズなど。1902勝)の名前だろう。

【次ページ】 フィリーズとジャイアンツの投手力は相当に厚い壁。

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ダスティ・ベイカー
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