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相撲界も学ぶべき?
不祥事から再生する方法。
~MLBが今も愛される理由~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2011/03/06 08:00

相撲界も学ぶべき?不祥事から再生する方法。~MLBが今も愛される理由~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

今年引退を発表したヤンキースのペティットも、薬物使用を正直に認めて“再生”した一人

 八百長問題で大相撲が無期限中止となった。相次ぐ不祥事で角界は窮地に追い込まれているが、米国の国技と言われるメジャーリーグも歴史上、数々の騒動でファンの期待を裏切り、それらの失敗を糧にしながら再生してきた。

 1919年、ホワイトソックス対レッズのワールドシリーズで八百長が発覚し、マフィアから賄賂を受け取った8選手が刑事告訴された。その中には、映画『フィールド・オブ・ドリームス』にも登場する“シューレス・ジョー”ら人気選手も含まれ、大騒動に発展した。結果的に、大陪審では情状酌量の余地があるとして無罪となったが、この事件を機に中立的な組織としてコミッショナー制度を導入。新たに招へいされた初代ランディス氏は8選手を永久追放した。

 '94年には、サラリーキャップ導入を巡る労使交渉が紛糾し、8月12日からストライキに突入した。公式戦だけでなく、プレーオフ、ワールドシリーズも中止となり、多くのファンを失望させた。事態を重く見た当時のクリントン大統領が調停役として仲介に入ったものの、スト期間は232日に及んだ。それでも、その後は収益分配制度、ぜいたく税を導入し、さらに翌'95年にはファンの意識調査を行ない、人気回復策の一環としてインターリーグ開催を決定した。

「検査で陽性(クロ)と判定されたいかなる選手も出場停止にする」

 '05年に着手した薬物疑惑解明は、第三者が主体となって行なわれた。コミッショナーのセリグ氏は「検査で陽性(クロ)と判定されたいかなる選手も出場停止にする」と厳しい姿勢を表明。'07年には、同氏の要請で元上院議員ジョージ・ミッチェル氏が調査報告書を作成した。いわゆる「ミッチェル・リポート」で、選手をはじめ、コーチ、トレーナー、警備担当者ら500人以上が事情聴取を受け、任意で提出された関連文書は11万ページにも及んだ。その後は、メディアを通して大々的な薬物撲滅キャンペーンを行なうなど、信頼回復に努めてきた。

 大相撲と米球界では、歴史も背景も異なり、単純に比較はできない。ただ、大胆な制度改革や外部による民主的なケジメの付け方は、公平感、正当性もあり、何よりもファンに対して説得力を持つ。幾多の危機に直面してきたメジャーリーグが、今も愛され続けているのは、何も米国人が大らかだからではない。

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