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気持ちの強さを前面に。
巨人・澤村の挑戦が始まる。
~川口和久コーチが捺した太鼓判~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byTamon Matsuzono

posted2011/03/01 06:00

沢村栄治以来、67年ぶりに「沢村」姓を持つ選手として入団。往年の大投手を超えられるか

沢村栄治以来、67年ぶりに「沢村」姓を持つ選手として入団。往年の大投手を超えられるか

 一昔前までは人気のセ、実力のパと言われてきたが、今年の新人に限って言えば逆転現象が起きているようだ。昨年のアジア大会、銅メダル獲得の原動力になった榎田大樹は阪神に入団し、大会を沸かせた須田幸太は横浜へ。このふたりに加え中大から巨人が一本釣りに成功した澤村拓一もいる。この3人はパ・リーグの個性派に劣らぬ実力派として、開幕一軍と目されている選手たちだ。

 特に二桁勝利は間違いない、との呼び声が高い逸材が巨人の澤村である。

 斎藤佑樹の都会的で洗練された雰囲気に比べて、澤村はどことなく朴訥で土の臭いがするタイプ。車の好みにも澤村らしさを感じさせる話がある。

 1970年代に活躍した大投手の多くはアメリカ車に乗っていた。しかし'80年代以降は燃費や安全性を考慮して、ドイツ車を好む選手が増加。今年で23歳になる澤村は「無駄も多いけれど排気量の多い爆発力がいい」という理由で、前時代的なアメ車が好きだと語っていた。

 澤村の投げるストレートもまた古くは江川卓、最近では田中将大を彷彿とさせる球質が重いボールである。

キャンプでストレートにこだわるのはなぜか?

 キャンプを巡回する各球団のスコアラーは「ストレートの速さは認めるけれど、変化球がどの程度なのかブルペンでも見せようとしない」と言い、どこまで活躍できるのか懐疑的に見ているようだ。しかし澤村が周囲の雑音に惑わされる様子はない。「僕の特徴は真っ直ぐですから」と堂々と宣言し、キャンプではストレートを磨くことに専念している。

 調整段階でストレートにこだわったのは、澤村の斎藤に対するライバル意識の現われだろう。

 自主トレで斎藤のことばかり聞かれ頭にきた澤村が「同世代の選手のことは答えたくない」と回答を拒否する一幕があった。後に撤回したが、「人気では負けても実力では絶対負けない」という意思をありありと見せた瞬間でもあった。

 気持ちの強さを前面に出す澤村の姿を見て、川口和久投手コーチも「キャンプの段階では内海哲也や東野峻よりも上」と絶賛している。

 右の本格派がエースの球団に覇権あり、と言われる球界。澤村が一人前になった時、巨人の憎らしいほどの強さが戻ってくるのかもしれない。

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