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日本馬術で知られざる世界的快挙。
五輪に出られなくとも伝説の人馬。

posted2018/01/29 08:00

 
日本馬術で知られざる世界的快挙。五輪に出られなくとも伝説の人馬。<Number Web> photograph by Ryosuke Kaji

時に力強く、時に軽やかに。林とエクゥィスクリアウォーターの演技は、まさに人馬一体だ。

text by

北野あづさ

北野あづさAzusa Kitano

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photograph by

Ryosuke Kaji

「馬術? よくわからない」という皆さんに朗報! 

 馬術の中でも特に「わかりづらい」と言われる種目が馬場馬術。20m×60mの長方形のアリーナで、各馬が様々なステップを踏んで演技を行い、その美しさや正確さを競うフィギュアスケートのような競技である。

 とは言え、4回転ジャンプもなければ、目が回りそうなスピンもない。“馬術的には”本当にすごいことをしているのだが、馬場馬術に馴染みのない人には、「何をしているの?」「何がすごいの?」と言われてしまう。

 そんな皆さんに紹介したいのが林伸伍と愛馬エクゥィスクリアウォーターだ。昨年12月に静岡県御殿場市で行われた国際大会で2種目に出場、断トツの成績で2種目とも制した。林とエクゥィスクリアウォーターがコンビを組んだのは2年前。

 それからここまでは波瀾万丈の道のりだった。

才能と力がある馬はコントロールが難しい。

 2015年9月。日本はリオデジャネイロオリンピック馬場馬術競技の地域予選で、大接戦の末、団体出場権を勝ち取った。林はこの時のメンバーの1人で、当時のパートナーはラムゼス・デアツヴァイタだった。

 自身の代表の座を確実にするために、翌年6月のオリンピック代表選考に向けて買ってもらったのがエクゥィスクリアウォーターだ。デンマークの選手が乗って、北京とロンドンの2大会に出場した実績のある馬。華やかで力強いステップ、弾むような動きは、それまでに林が乗ったどの馬よりも優れていた。レベルが違った。

 しかし、馬にどれだけ才能があっても、それを引き出すのは人間だ。うまく乗ってやれなければ、良い結果は出せない。そして、才能と力がある馬は往々にしてコントロールが難しい。エクゥィスクリアウォーターもその例に漏れなかった。競技に出ると必ずミスがあり、思うようにスコアを伸ばすことができない日々が続いた。そんな状態のまま代表選考会を迎えた。

【次ページ】 インスペクションの不通過、林の骨折と試練が。

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林伸伍
エクゥィスクリアウォーター

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