テニスPRESSBACK NUMBER
大坂なおみはなぜ世界で愛されるか。
個性が薄れる女子テニス界の異端。
posted2018/01/24 11:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
2018年最初のグランドスラムの後半戦は、ニュースター不足である。
8強の中にはグランドスラム決勝経験のない選手が3人いて、そこには22歳や23歳といった若手もいるが、これからの女子テニスを変える予感を抱かせてくれるようなインパクトのある逸材はいない。
だからなおさら、大坂なおみの4回戦敗退は残念だった。
相手は全仏オープンで2度準優勝している第1シードのシモナ・ハレプ。大坂にはまだツアー優勝の実績もなく(2016年の東レPPOの準優勝が最高成績)、一昨年の秋に40位に達した世界ランキングは、現在72位に後退している。
つまり、順当な結果なのだが……ハレプとの2度のフルセットを含めた善戦、昨年の全米オープンで前年に2度のグランドスラム優勝を果たしていた元女王アンジェリック・ケルバーを破ったこと、他にも過去何度もトップ10との接戦を見せてきた実績がある大坂だけに、勝利を信じる人は国内外に少なくなかったのだ。
選手たちの個性が失われていくテニス界にあって……。
20歳の大坂には、番狂わせを起こしそうな、そしてファンを惹き付ける〈スタイル〉がある。
テニスにも、ルックスにも、パーソナリティにも。テニスは単調に、そして個性も薄れていく女子テニスで、それこそ新しい時代を切り開くカギだ。
これまで大坂にとってグランドスラムにおける〈壁〉だった3回戦で、地元オーストラリア・ナンバーワンの21歳、世界ランク17位のアシュリー・バーティをストレートセットで破ったあとのコート上でのインタビュー。
大坂はまた新たなファンを獲得したようだった。