プロ野球PRESSBACK NUMBER
2017年の中日は臥薪嘗胆だった……。
京田陽太、大野奨太から反撃開始だ!
posted2018/01/04 11:00
text by
伊藤哲也Tetsuya Ito
photograph by
Kyodo News
イバラの道はまだ続いてしまうのか――。
2004年から8年間で4度のリーグ優勝に輝き、憎らしいまでの強さを見せた中日は、今や低迷期の真っただ中にいる。
バッテリーを中心に鉄壁のディフェンスを誇り、そつのない攻撃で僅差を拾う。そんな試合巧者ぶりを演じてきた主軸たちが一線を退いていくのは、致し方ない。
ここまで低迷が続く要因は、一にも二にも井端弘和、荒木雅博、谷繁元信、和田一浩……レギュラー陣の後継者が育たなかったことに尽きる。
今季は荒木が通算2000本安打を達成したが、このことを裏返せば、荒木を押しのける二塁手が現状でも出てきていない、ということになる。リーグ連覇をかざった広島を見てもわかるように田中広輔&菊池涼介の二遊間は強固で、中日にとっても“アライバ”に続く二遊間の存在はチーム再建のためには不可欠なはずだった。
そんな中、今季ひと筋の光が差し込んだ。
ドラフト2位で入団した新人・京田陽太だ。
開幕スタメンも、打率1割9分8厘ともがいていた。
2月の春季キャンプ。ネット裏の評論家諸氏から漏れた言葉は決して高い評価ではなかった。
「打撃は非力だね、しっかり引っ張れない」「守備も抜群ではない」「少し時間はかかるかな」etc……。
オープン戦では二塁でも起用されるなど決して目立ったわけではないが、何より俊足という武器が、機動力を使うという森監督の方針と合致していた。
その勢いのまま、開幕スタメンに抜てき。ただ4月を終えて打率1割9分8厘ともがき苦しんだ。
そんな京田が1つの転機を迎えたのが、4月28日から始まった阪神との3連戦(甲子園)での、ある試合前のことだった。ウォーミングアップをしていると、「京田ぁ~」と大きな声で叫ばれた。
声の主は森繁和監督。
すぐさま指揮官の下に走って向かった。