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スターホースは「できすぎ」を呼ぶ。
キタサンブラックの有馬記念を占う。
posted2017/12/23 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
GI6勝の戦績を誇る王者キタサンブラック(牡5歳、父ブラックタイド、栗東・清水久詞厩舎)が、今週の第62回有馬記念(12月24日、中山芝2500m、3歳以上GI)でラストランを迎える。
3歳時の2015年、菊花賞でGI初制覇を遂げ、北島三郎オーナーが「まつり」のキタサンブラックバージョンを初めて歌い、大きな話題になった。
翌2016年からは武豊を鞍上に迎え、注目度がさらに上がった。「現役最強馬」の看板を引っさげ、天皇賞・春とジャパンカップを制し、年度代表馬に選出された。武は敬意をこめて、この馬を「知らない人のいない、国民的スターホース」と呼ぶようになった。
今年2017年は、まずGIに格上げされた大阪杯を制覇。次走の天皇賞・春では、不滅と思われたディープインパクトの記録をコンマ9秒も短縮する3分12秒5というスーパーレコードで優勝。さらに、レース史上もっとも遅いタイムで決着した天皇賞・秋を、誰もが驚く追い込みの競馬で快勝し、圧巻の強さを見せつけた。
ハードなトレーニングとタフなレースをこなしてきたキャリアの集大成が、この有馬記念となる。
初めて1番人気になったのは、実は12戦目。
今でこそ出れば当たり前のように1番人気になるが、少し前までは、実力になかなか人気が追いついてこなかった。
「人気」というのは、馬券での支持という意味の人気である。初めて1番人気に支持されたのは、昨年の京都大賞典。デビューからなんと12戦目のことだった。それまで11戦6勝2着1回3着3回着外1回という安定した成績で、GIを2勝していたにもかかわらず、本命視されない「実力先行型」だったのだ。
一番の理由は父ブラックタイド、母の父サクラバクシンオーという血統だろう。ブラックタイドはディープインパクトの全兄という良血だが、重賞勝ちはスプリングステークスだけだった。そしてサクラバクシンオーは誰もが知る名スプリンターだった。
それゆえ、中・長距離戦線を戦っていくうえでの底力を不安視されていたのだろう。