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キタサン引退までのカウントダウン。
雨模様の天皇賞・秋、状態は?
posted2017/10/28 07:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
現役最強馬キタサンブラックが今年限りで引退する、と10月20日に発表された。天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念とGIを3戦したあと、北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬となる。
あと3戦で見納めだ。そう思うと、同馬を含めて8頭ものGIホースが出走する第156回天皇賞・秋(10月29日、東京芝2000m、3歳以上GI)の豪華さが、よりプレミアムなものに感じられる。
「メジロマックイーンでもできなかった天皇賞・春3連覇を達成してほしかった」
「武豊と凱旋門賞に参戦し、ハナを切るところが見たかった」
「いや、勢いのあるうちに引退し、種牡馬としても成功してほしい」
などなど、キタサンブラック(牡5歳、父ブラックタイド、栗東・清水久詞厩舎)の引退発表は、さまざまな思いで受けとめられた。
陣営としては、残りの3戦すべてを勝つにこしたことはないが、最悪でも1つは勝って、2年連続となる年度代表馬の座を確定させたいところだろう。
宝塚記念の惨敗は、あまり心配していない。
東京芝2000mの経験は一度だけで、2年前の2月、デビュー2戦目の500万下を勝っただけだ。それでも、東京芝2400mのジャパンカップで2着を2馬身半突き放した強さや、同じ2000mの大阪杯を完勝した危なげない走りなどから、東京芝2000mは最も力を発揮しやすい舞台かもしれない。
9着に惨敗した前走の宝塚記念は、アクシデントでもあったのかと思うほどの失速ぶりだった。しかし武豊もコメントしているように、むしろ僅差だと力負けしたことになるが、あれだけ大きく離されると、何か別の要因があったとしか考えられない。おそらく、目に見えない疲れから本来の走りができず、自分でレースをやめてしまったのだろう。
一度の敗戦で負け癖がついてしまう馬は少なくないが、この馬の場合、ダービーでも14着に大敗しながら、その後、何事もなかったかのようにGI勝利を積みかさねてきたのだから、その心配は無用だ。