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日本がW杯を決めた日に90分出場。
内田篤人、とぼけた野心的な移籍。

posted2017/09/06 07:00

 
日本がW杯を決めた日に90分出場。内田篤人、とぼけた野心的な移籍。<Number Web> photograph by AFLO

シャルケで信頼関係を築いたケラーの存在も、内田篤人にとっては大きな支えになっている。完全復活の時は近い。

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了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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 8月23日、内田篤人のウニオン・ベルリンの入団会見が行われた。表情はいたって晴れやかだ。広報担当者アルバイト氏をはさんで、左に強化担当者ヘルムート・シュルテ氏、右に内田がスタンディングで話すスタイルの会見で、まずはシュルテ氏が高いテンションで内田獲得の背景や期待を述べる。

 続いて、司会から挨拶をうながされ、内田は日本語でこんな風に話し始めた。

「最初に言っておきますけど……、ドイツ語はなんとなくわかるんだけど、こういう大事な場なので通訳さんを通してしゃべることを許してもらいたいなと思います」

 真摯な姿勢と、コミュニケーションを積極的に取りたいという意欲を見せたことは、言葉を重要視するドイツ人記者たちのハートをつかんだ。地元記者からの矢継ぎ早で途切れぬ質問に、30分ほどよどみなく答え続けた。この会見は今時の主流にのっとり、クラブTVと名のついたYouTubeで生中継された。

「あー、言い忘れたんだけどさ」

 アイドル的なウェブ上での写真展開もあり、日本人ファンからのアクセスを見込んでいる側面も否めないが、ウニオンにとっては間違いなく大型補強。ケラー監督と旧知の関係であり、長きにわたる故障明けで現在のパフォーマンスは未知数ではあるが、1部のビッグクラブであるシャルケから、引退間近ではなくこれからもう一度輝こうという現役選手が来たわけだ。期待が高まるのは当然でもある。

 会見が終わると、ピッチに出て写真撮影が行われた。いくつかのオーダーに応え、クラブスタッフと引き上げながらこんなことをいう。

「あー、言い忘れたんだけどさ。快く送り出してくれたシャルケのクラブスタッフやファン、サポーターに感謝してます、って本当は言おうと思ってたんだよね……」

 ドイツ人記者たちの熱に押され、言いたいことを後回しにしてしまったことを後悔しながらその場を去った。新天地を得た喜びにひたるでもなく、新たな勝負への気合いを口にしつつも気遣いを見せるあたりが、内田らしさの一端のように思えた。

【次ページ】 スムーズな移籍は、内田にとってもプラスに。

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