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世陸での衝撃はロンドンの運営面。
交通機関タダ、東京五輪はできる?

posted2017/09/04 07:00

 
世陸での衝撃はロンドンの運営面。交通機関タダ、東京五輪はできる?<Number Web> photograph by AFLO

ロンドンの世界陸上、4×100mリレー決勝が行われた日の会場は立錐の余地もなかった。帰り道がスムースなら、その思い出はさらにポジティブになる。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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 東京オリンピックを控え、海外で開かれる大会や試合での「運営」がとても気になる時期になってきた。

 8月、ロンドンで開かれた世界陸上でもスタジアムの作り(オリンピックの時には分からなかったが、ずいぶんと観戦しやすいことに驚いた。100mのスタートなど、席によっては目の前に選手たちがいる)、そして円滑な試合進行や、観客の動線などもチェック対象だ。

 ロンドンの世界陸上でいちばん驚いたのは、帰りの電車が“Free”、つまりタダだったことである。

 私は大会初日の取材に向かうのに、「セントパンクラス・インターナショナル」から「ストラットフォード・インターナショナル」まで、高速鉄道を使った。

 往復で11.10ポンド、およそ1500円だ(片道は6.20ポンド、860円ほど)。7分しか乗らないので割高だが、オリンピックの時に使って便利だったので、時間を優先したのである。感覚としては、東京駅から横浜アリーナに行くために新幹線を利用する感じだ。

「切符、カードをタッチする必要もありません!」

 イギリスの鉄道は「リターン・チケット」という往復切符を買っておくと割引になるので、当然のことながら往復を購入していたのだが、まさかスタジアムに向かう時点では、帰りの切符が無駄になってしまうとは想像すらしなかった。

 初日、モー・ファラーが優勝した素晴らしい10000mが終わり、人の波にもまれながら20分ほども歩いただろうか。駅構内に入って、たまげた。

 改札のゲートが開放されていたのだ。

「そのまま通ってください! 切符、カードをタッチする必要もありません!」

 と駅係員が観客を誘導している。

 マジか? と思いながらホームに入り、

「きっと、終点のセントパンクラスで確認するんだろうな」

 と思って終点に到着してみると、ここの改札もスルー状態になっていた。

【次ページ】 利益よりも観客のスムースな帰宅を促す。

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