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甲子園開幕戦、サヨナラ劇の裏側。
彦根東がこだわった“一、三塁”の形。

posted2017/08/08 17:30

 
甲子園開幕戦、サヨナラ劇の裏側。彦根東がこだわった“一、三塁”の形。<Number Web> photograph by Kyodo News

波佐見の捕手・山口裕聖のタッチをかいくぐった彦根東の原晟也。今夏の甲子園は、劇的な展開で幕を開けた。

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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Kyodo News

 奇跡のバックホーム、とはならなかった。

 夏の甲子園、9年ぶりの公立校同士の対決となった2017年開幕ゲームは、彦根東(滋賀)が6-5で波佐見(長崎)にサヨナラ勝ちした。

 試合を決した最後のシーンは2死一・二塁からの右翼前安打で、波佐見の右翼手・田中涼からベストボールが転送されたが間一髪、彦根東の三塁走者・原晟也が生還した。

「信じられないです。9回の逆転もそうですが、自分たちがやれることをしっかりやってつないでいった得点だった。選手たちがよくやってくれました」

 彦根東・村中隆之監督は甲子園初勝利に胸をなでおろしていた。

彦根東、波佐見とも一歩も譲らない一進一退の攻防。

 6-5のスコアが示すように、両者の力が出た好ゲームだった。

 試合は2回表、波佐見の主砲・内野裕太の大会第1号となるソロ本塁打で幕を開ける。直後の2回裏、彦根東は1死満塁から太田剛志の犠牲フライで同点とすると、3回表には今度は波佐見が四球を足掛かりに1番・村川大介の適時二塁打で1点を勝ち越した。

 しかしその裏、彦根東は2死からの相手失策で走者を出すと、エンドランで2死一・三塁と好機を作って6番・吉本孝祐の3点本塁打で逆転した。

 両者一歩も譲らない一進一退の攻防。それは後半に入ってからも続いた。

 波佐見は6回表、5番・浜田倫の左翼前適時打で1点を返すと、7回表には2死満塁の好機から4番・内野が右翼前適時打を放って2人が生還、逆転に成功。

 そこからゲームは動かず5-4と波佐見リードで9回裏を迎えた。この時、波佐見の指揮官・得永健監督は「このままじゃ厳しい。延長戦も覚悟した」と言う。自分たちと同様、公立校である彦根東が終盤に粘り強さを発揮すると感じていたからである。

【次ページ】 二塁走者を止めて作りたかった「1死一、三塁」。

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