マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「この投手化ける」と感じた5年前。
セタコー・創価大・育成の石川柊太。
posted2017/07/11 11:30
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
先日、甲斐拓也捕手の奮戦ぶりをお伝えしたかと思ったら、今度は投手・石川柊太(しゅうた)が投手陣の一角を占めようとする勢いだ。
ソフトバンクの育成出身の若手選手たちの台頭はめざましい。
石川柊太が“A組”抜擢で頑張っていた今春の宮崎キャンプのこと。やはり、一軍メンバーのA組でピカッと光ったプレーを見せていたのが、遊撃手・曽根海成だった。
プロ球界を代表する天才的フィールディングを展開する今宮健太と共に、遊撃手としてノックを受けながら、まったく物怖じしたところがない。“ナショナルフラッグ”の今宮健太を向こうに回して、打球を処理する安定感では敵わなくても、三遊間からの力感抜群のスローイングは間違いなく見る者の目を惹く勢いだった。
育成でも4年目でここまでになるのか……。
背番号140。3ケタの重苦しさもみじんも感じさせない軽やかな動きが今でも印象に残る。
育成がすごいな……。その足音がこの耳に聞こえてくるようだった。
ソフトバンクの創価大といえば田中正義だが。
彼らと同じ育成4年目の石川柊太が、5月の交流戦から先発で登板するたびに好投を繰り返し、ここまで4勝を挙げている。
内容がすばらしい。最近5試合の31イニング3分の2で自責点わずか5。防御率にすればおよそ1.40、38三振を奪っている。
同じ育成出身で投手陣の軸にのし上がった千賀滉大が万全ではない。さらに、和田毅が故障で抜けて、武田翔太も出遅れているソフトバンク投手陣は、正直なところ困窮状態だ。
そこにサッと現われて、さらっと“穴”を埋めているどころか、それ以上の働きを果たしている。お見事! と肩のひとつも叩きたくなるほどの大活躍だ。
石川柊太が「創価大学」出身であることは、まだあまり知られていない。
ソフトバンクで創価大学といえば、昨秋のドラフト1位指名として鳴り物入りで入団した大器・田中正義であろう。
現在、田中正義はファームで時間をかけて右肩の調整につとめているが、その間に、“隠れ創価”の石川柊太がその脇をスルリと駆け抜けていった。