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駅伝を経由せず、選んだ五輪直行。
“世代最強”遠藤日向の異端ルート。
posted2017/07/03 07:00
text by
別府響(Number編集部)Hibiki Beppu
photograph by
AFLO
「あーーーっ!」
声にならない叫びをあげて、2度、3度と右の太腿を強くたたく。握りしめた拳は、湧きあがる悔しさを、こらえきれないようだった。
陸上日本選手権の男子1500m決勝。ラスト勝負で優勝した館澤亨次(東海大)に競り負け、2位に終わった遠藤日向(えんどう・ひゅうが/住友電工)は、レース後もしきりに無念さをにじませていた。
「表彰台は最低限の目標で、やはり優勝を目指してこの大会に来ていたので。2位というのは一番獲っちゃいけない順位というか……どんなに僅差でも、どんなにいいタイムでも負けは負けなので。やっぱりラストという自分の一番得意としているところで負けてしまったので、やっぱり今日は完敗ですね」
遠藤は今年、高校を卒業したばかりの18歳だ。しかも昨年末からの左アキレス腱故障の影響もあり、本格的に練習を始めたのは4月から。それにも関わらず、日本最高峰の舞台で準優勝を果たした。予選では自己ベストも更新しており、十分な結果と言ってもいいはずである。
「2位は死守しないと、と思ったから競り負けた」
「まだ18歳なのに、準優勝なんてすごいなぁ……」
そんなシンプルな想いとともにレース後のコメントを聞いてみても、本人は少しも納得していないようだった。
「途中で『とりあえず2位は死守しないと』と心の中で思ってしまった。そういう部分でラスト、競り負けたんだと思います。レース途中の位置取り争いで力を使ってしまって、それでラスト100mまでに力を使ってしまったんじゃないかと思います」