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甲子園にも球数制限を設けるべき。
斎藤佑樹、太田幸司の頃とは違う。

posted2017/04/04 08:00

 
延長再試合は、甲子園のドラマの1つの頂点である。しかし、投手にかかる負担を考えれば、手放しで賞賛もできない。

延長再試合は、甲子園のドラマの1つの頂点である。しかし、投手にかかる負担を考えれば、手放しで賞賛もできない。

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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Takashi Shimizu

 第89回選抜大会は「延長戦の多い大会」という記憶が残るだろう。

初日……第1試合/呉6-5至学館(12回)
2日目…第1試合/盛岡大付10-9高岡商(10回)
3日目…第2試合/滋賀学園6-2東海大市原望洋(14回)
5日目…第2試合/早稲田実5-4明徳義塾(10回)
7日目…第2試合/福岡大大濠1-1滋賀学園(15回引き分け、再試合)、第3試合/健大高崎7-7福井工大福井(15回引き分け、再試合)

 この中でも目を引くのは7日目の2試合である。夏の大会では1969(昭和44)年の決勝、松山商対三沢が延長18回の末、0-0のまま決着がつかず、翌日再試合となって松山商が4-2で三沢を退けたことがある。

 記憶に新しい2006年の決勝では田中将大(駒大苫小牧→現ヤンキース)と斎藤佑樹(早稲田実→現日本ハム)が投げ合って1-1のまま決着がつかず、翌日の再試合で早稲田実が4-3で駒大苫小牧を退けている。

 選抜では2006年にやはり斎藤佑樹がエースの早稲田実が上田剛史(関西→現ヤクルト)を擁する関西に延長15回の末、7-7で引き分け、翌日の再試合を4-3で勝っている。

“激闘”“死闘”という言葉で美化されやすいが……。

 こういう試合は“激闘”とか“死闘”という言葉で美化されやすいが、三沢高の太田幸司(元近鉄など)は延長18回で262球、翌日の再試合で122球投げ、2日間の総投球数は384球に達している。斎藤佑樹は'06年夏の決勝、駒大苫小牧戦が延長15回を投げ178球、翌日の再試合で118球投げ、合計296球を投げている。ちなみに、斎藤がこの夏に投げた総投球数は948球で、これは歴代1位の記録である。

 太田も斎藤もその後プロ入りし、一軍で登板していることもあり「高校時代の投げすぎでダメになった」とは言われないが、ボールの投げすぎが投手の消耗につながることは医学的に明らかであり、先ごろ行われたWBC(ワールドベースボールクラシック)では「1次リーグ65球、2次リーグ80球、準決勝・決勝95球」という細かな投球制限のルールがある。

【次ページ】 大阪桐蔭でもエース藤浪晋太郎に依存した。

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