リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサの中盤軽視がいよいよ危険?
イニエスタだけが守るペップイズム。
posted2016/12/07 17:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
AFLO
今シーズンのバルサは圧倒的に強いはずだった。
なにしろ昨季のチャンピオンで、夏の補強に成功。「自分が監督になって以来、戦力的には最高のチーム」とルイス・エンリケ自身が認めたほどだ。
ところがいまのところ、それほどでもない。
11月が終わったところで、リーガの戦績は8勝2敗3引き分け。11月に限っていうと1勝2分け。
この時点で獲得ポイントが27というのは、最終的に3位で終わった'07-'08シーズン以来の低さである。同月はまたCLマンチェスター・シティ戦に敗れ、国王杯では、レギュラー組を外しての戦いではあったものの、2部Bのエルクレスと引き分けている。
よって12月3日に行われたリーガ第14節、シーズン前半戦の山場であるマドリー戦はバルサにとって試金石となった。
今季のチームは、本当のところどうなのか。
すでに6ポイントもの差を付けられている首位マドリーに今後追いつき、追い越すことができるのか。
失われつつある「バルサの中盤」。
ときに、いまのバルサのサッカーについて、しばらく前から指摘されていることがある。
グアルディオラが植えつけ、バルサのプレイスタイルの肝となり、世界を感嘆させクラブに無数のタイトルをもたらした戦術――正確なポジショニングとルールに従ったパス廻しでボール周りに常に優位な状況を作り、敵の陣形にじわじわ穴を開けていく「ポジショナルプレイ」――が失われつつあるというのだ。
その核となるのは中盤の構造なのだが、MSNのスリートップを何より重視するルイス・エンリケが、それを疎かにしていると言われている。