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なぜ日本マラソン界はダメになった?
「福岡国際マラソン」からの再出発。
posted2016/12/02 08:00
text by
折山淑美Toshimi Oriyama
photograph by
Nanae Suzuki
今年はリオデジャネイロ五輪イヤーだったにもかかわらず、日本男子マラソンのランキング1位は、川内優輝が7月のゴールドコーストマラソンで出した2時間09分01秒で、それに続く2時間9分台は4人だけという状況である。
ロンドン五輪があった2012年は、2時間07分48秒が最高で、サブ10(2時間10分以内)が9人。北京五輪の'08年には2時間08分36秒を筆頭にサブ10は8人。アテネ五輪イヤーの'04年は2時間07分50秒を筆頭に10人だったことと比較しても……レベルが下がっていると言わざるをえない。
男子は14年間、女子は11年間も日本記録が更新されていない日本マラソン界。選手を多く抱える日本実業団陸上競技連合は、'15年3月に2020年東京五輪へ向けた強化プロジェクトを立ち上げ、男女とも日本記録を突破した選手には1億円の報奨金を授与すると発表するに至った。
さらに、男子で2時間06分59秒以内と女子の2時間21分59秒以内の記録には1000万円、男子2時間7分台と女子2時間22分台には500万円の日本記録挑戦奨励金を授与することにした。
だが男子では、まだその目の前にぶら下げられたニンジンにさえ手が届いていないのが現状なのだ。
東京五輪でのマラソン復活にかけた日本陸上競技連盟。
そんな中で日本陸上競技連盟は11月に、'20年東京五輪までを視野に入れた、強化委員会の新組織体制を発表した。
新組織体制下で“ゴールドターゲット”に次ぐ“メダルターゲット”として強化指定された「男女マラソン」部門は、DeNAランニングクラブ総監督の瀬古利彦氏が長距離・マラソン強化戦略プロジェクト全体のリーダーとなり、男子は中国電力陸上部監督の坂口泰氏、女子は第一生命陸上部監督の山下佐知子氏が指揮を執ることになった。