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池江璃花子に感じた勢い、心配は……。
伊藤華英がアジア選手権で感じた事。
posted2016/11/29 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
11月14日から20日にかけて、アジア水泳選手権が東京で行なわれた。水球、飛込み、シンクロナイズドスイミング、競泳と4競技からなる水泳の総合国際大会である。
競泳には、リオデジャネイロ五輪代表から若手まで、幅広い世代の選手が出場した。
大会を終えて、北京、ロンドンの両五輪や世界選手権など数々の大会に出場、長年にわたって第一線で活躍してきた伊藤華英は、こう振り返る。
「オリンピックで悔しさのあった選手が印象的でした」
中でも、池江璃花子と渡辺一平が目をひいたと言う。
池江はリオで日本競泳史上最多の7種目に出場し、100mバタフライ5位入賞などの成績を残した。アジア選手権では、3種目で優勝を果たしている。
「池江璃花子は特に勢いがありました。それと肩幅がとても広くなり、上半身もすごい大きくなっていました。ウェイトトレーニングを始めているんでしょう。何よりも、注目を集めたリオで日本新記録は出したけれど、メダルは獲れていないんですね。一方でメダルを獲った選手をすぐ近くで目にした。もう負けたくないというような、勝ち気な部分が見えた気がしました」
リオにいけなかった選手にとっても、重要な機会。
渡辺はリオで200m平泳ぎに出場、6位だった。今回のアジア選手権では100、200mをともに優勝している。
「渡辺一平も下半身の強化に力を入れているようですが、疲れのある中でも結果を出しました。リオは、大きな大会としては初めての日本代表でした。そういう意味ではこれからですし、エネルギーもあるんじゃないかと思います。リオで6位だったことで、結果を出したいという気持ちが強くなってきたら、期待したいです」
今大会には、オリンピックに出られなかった選手や若い選手たちも数多く出場した。
「彼らにとっても、選ばれて代表になることはよかったと思います。リオに行けなかった選手、例えば選考会を兼ねた日本選手権の200m背泳ぎで3位だった砂間敬太君のような選手にとっては、これからへ向けて、大切な試合になったはずです」
砂間は、200m背泳ぎで3位、200m個人メドレーで3位と、ともに表彰台に上がった。
「200m平泳ぎで2分22秒台のタイムを出して優勝した青木玲緒樹選手も速かったですね。中学3年生で出場した自由形の大内紗雪選手をはじめ、若い選手にとってもいい経験になったと思います。強い選手たちと一緒のチームになって、『こんなふうにレースのために練習してウォーミングアップしているんだ』と間近で見られて、刺激になったはずです」