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絶対に五輪で萩野公介に勝つ――。
瀬戸大也が描く「勝利の青写真」。
posted2016/08/02 12:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Takuya Sugiyama
終始、笑顔だった。
「プレッシャー、ドンドンかけて下さい」
「選手団の流れは自分がマジで作りたいですね、金メダル第1号で!」
そう嘯く表情には、初の五輪に向けて、強がりや緊張は微塵も見られない。
競泳日本代表・瀬戸大也、22歳。
リオデジャネイロ五輪へ向けた最後の海外合宿に出発する直前の5月末。Number907号「リオ五輪プレビュー」のインタビューを受けるべく、ナショナルトレーニングセンターにほど近い赤羽の会議室に現れた瀬戸は、こちらが驚くほどに自然体だった。
2013年のバルセロナ、2015年のカザンと世界水泳では日本史上初となる400m個人メドレーを連覇。本来ならこの種目で五輪金メダル候補の1番手に挙げられてもいいはずだ。だが、瀬戸は日本ではいつも「2番手」に位置づけられていた。それは、常に同い年のライバル・萩野公介の存在があったからだ。
「今は間違いなく公介が世界で一番強い。一緒に練習すると、『なんでこれで世界記録がでないの?』って思うくらい強いですよ(笑)。だから、公介との差がそのまま金メダルとの距離なんだと思います」
記録は劣るが、檜舞台で結果を出してきたのが瀬戸。
瀬戸は長年、萩野の背中を追い続けて来た。日本選手権の400m個人メドレーでは、今年まで4年連続で萩野に次いで2位。自己記録でも萩野が瀬戸を約1秒上回る。今季の世界ランクも萩野が1位、瀬戸が3位だ。それでも、これまで世界の舞台で結果を残し続けて来たのは、瀬戸だった。
「ポジティブ」「強靭なメンタル」「ここ一番の精神力」――萩野と比べて瀬戸の活躍を評する時、きまって並ぶのが、その精神面の強さへの賛辞だ。