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渡邉一成(リオ五輪 ケイリン日本代表)
「3度目の挑戦、悔いのないレースを」

posted2016/07/14 10:00

 
渡邉一成(リオ五輪 ケイリン日本代表)「3度目の挑戦、悔いのないレースを」<Number Web> photograph by Tetsuya Ito

アジアの大会では何度となく金メダルに輝いている渡邉。リオでは世界の頂点を狙う。

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

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Tetsuya Ito

この夏、リオのバンクを駆ける3選手に注目する短期集中連載「Keep Trying」。
競輪とケイリンの両立に挑む快速スプリンターの決意とは――。

 五輪種目ケイリンは、日本の公営競技「競輪」を基にした競技である。いずれもバンクを猛スピードで走り抜ける迫力溢れるレースが醍醐味だが、自転車の種類やバンクの長さ、素材(競輪はウォークトップと呼ばれる特別素材、ケイリンは木)など、両者には細かな違いがあり、両立は容易なことではない。競技に打ち込むための金銭的な保証も用意されていないため、五輪を目指す選手が多くないのが現状だ。そんな中、渡邉一成は競輪デビュー当時からケイリンに挑戦してきた。

「競技としてのケイリンの魅力に取りつかれているからこそ、五輪を目指してきました。ただ、競技で上を目指せるのは、“競輪”が成り立っているからだということも理解しています。だからこそ、両方に恩返しできるような成績を残さないと」

2度の五輪に出場も「納得の行くレースができていない」。

 世界で磨きあげられたスピードは日本屈指。トラック短距離界では国内第一人者に登りつめ、日本を代表するスプリンターとして、'08年北京五輪、'12年ロンドン五輪と2度の五輪にも出場した。しかし、いずれも、「納得の行くレースができていない」と厳しい表情を浮かべる。

「北京五輪はわけが分からない間に終わってしまった。ロンドン五輪は万全の状態で臨んだのに、自分への過剰な期待と気負いでバランスを崩してしまった。だからこそ、“もう一度五輪へ”と意地になっていた部分もありました。でも、3度目のチャンスに恵まれるなんて滅多にないこと。リオでは過去2大会の悔しさを晴らし、今度こそ納得のいくレースで、最高の成績を残したいですね」

 北京五輪後、大幅に意識改革し、トレーニングはもちろん、休日も体力の回復、向上に努めるなど、ストイックな生活を積み重ねてきた。すべては自身の力を出し切り、後悔のないレースをするためだ。3度目の正直ならぬ、3度目の五輪で、リオに大輪の花を咲かせる。

渡邉一成Kazunari Watanabe

1983年8月12日、福島県生まれ。'08年北京五輪でチームスプリント6位、男子ケイリン12位。'12年ロンドン五輪でチームスプリント8位、男子ケイリン11位。今年最初のG1レース、全日本選抜競輪で優勝。176cm、80kg。

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